1 彼女の名は
初めての作品なので誤りがあると思います。
なので方言、誤字等見つけた場合教えてくださりますと助かります。
9月半ばの放課後の騒がしい学校の廊下。
そこに1人の女子生徒が通ると途端に静まり返った。
その女子生徒はボタンをいくつか外してネクタイを緩く締め黒いパーカーを羽織り不良のように制服を着崩していた。
彼女がホワイトブロンドの色素の薄い長い髪をなびかせながら気怠げに歩くだけでその場にいる生徒に緊張感が漂う。
彼女が近くの生徒が落としたハンカチを拾って渡すと、その姿に思わず周りの目線を集める。
「ハンカチ、落とした」
掠れ声でそう言って渡すだけの何気ない仕草すら絵になっている。
「誰だろう?不良っぽいけどかっこいい!」
「あ、わかった!あの人じゃない?噂の――」
―神代朔―
朔は、この学校でも指折りの有名人だ。
ホワイトブロンドの色素の薄い髪に色素の薄い瞳。それだけでも目を引くのに目つきが悪いと思われがちな切れ長の大きなつり目が特徴的な美しい顔立ちをしている為、とても目立つ。
しかし、朔自身はいつも無表情で淡々としている。誰とも話さず、授業をサボることも少なくない。
ちゃんと授業に出たとしても大抵寝ている。
そんな朔だが実は、
(眠……)
ひたすらに眠いだけなのである。
朔は、昔のとある出来事により、夜絶対に眠れなかった。昼なら時間をかければ寝れるのだが、夜になるとなぜか眠れない。
睡眠不足によりつり目がより鋭くなり、基本的に無気力で無愛想だ。
そんな朔が唯一やる気を出すことはバイトだ。余りに余った夜の時間をバイトで潰して生活費を稼ぎ、昼に学校で寝る。昼夜逆転生活の見本のような日々を送っていた。
朔はふわあ、と小さく欠伸をして、自らがざわつかせた廊下には目もくれず下校する。
(やっぱりねむ……。今日3時間しか寝れなかったからな。まぁ、寝れただけマシか)
朔は4時間以上寝られたら良い方だ。悪い時は1時間程度しか眠れない日もある。
(今日は……、コンビニの夜勤バイトか。時給いい割に客少ないしな、あそこ。暇だな……)
朔がぼんやりと歩いていると、声が聞こえる。
「――…してくださいっ!離してっ!!」
朔は少し離れた場所から様子を伺う。
どうやら、不良数人が朔と同い年くらいの小柄な女子に絡んでいるようだ。
(見るからに箱入り娘っぽい子だな。何でこんな治安悪いとこにいんだろ。まぁ、どうでもいっか。今はこの不良をどうにかしなきゃだしな。めんど……)
この辺りは、治安が悪い。
不良の集まりが多いこの場所から育ちの良さそうな彼女はとても浮いていた。
朔は溜息をつき、そして不良達に歩み寄り声を掛ける。
近寄ると彼女は目に涙を浮かべている。
「何してるんだ?」
「あぁ゙?誰だお前。見りゃ分かんだろーが。ダチと遊んでんだよ」
「そうか。で、その子もダチなのか?」
「ち、違います!!助けて………!」
朔は、はぁ、と何度目かのため息をつく。
「じゃあ、この子貰うな」
そう言って朔は彼女と共に去ろうとする。
彼女はよく見ると整った顔立ちをしている。肩につくくらいの茶髪を揺らしながら垂れ目がちの大きな瞳を潤ませている。
それだけでも、庇護欲をそそられる。
「ふざけんじゃねえ!!」
不良がキレる。
朔は面倒なことになったと思いつつ茶髪の女子を後ろに護り身構える。不良が拳を振りかぶるのを見て受け流し、蹴りをいれる。
倒れたリーダー格の不良を足で踏み他の不良に一言。
「……まだ、やりたいのか?」
朔が睨みながら言うと、ビビって逃げ出す不良達を遠い目で見る。
「大丈夫か?」
朔は、振り返って彼女の安全確認をする。すると、返ってきたのはぎこちなない返事だ。
目の前で暴力行為を見たあとなら通常はそうなるだろう。
「はい……あ、ありがとうご、ざいます。えっと…お名前は?」
「……それよりも、あっちの人通りの多い大通りを歩いた方が良い。歩けるのか?」
朔は、名前を適当にはぐらかす。大通りならば、不良にも絡まれにくいだろう。
「変なのに巻き込まれたな……」
朔は、1人呟いてまた歩き出す。
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