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役立たずと追放された俺の農業スキル、実は作物を兵器や霊薬に進化させる最強の力でした。  作者: 黒崎隼人


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第7章:王都での新たな挑戦

 王都は、想像を遥かに超える大都市だった。天を突くような白亜の城、整然と並んだ石造りの街並み、そして行き交う人々の活気。辺境の村とは何もかもが違っていた。

 俺たちは王宮の門前で直訴を試みたが、案の定、門前払いされた。身分の低い農民の訴えなど、そう簡単に聞き届けられるはずもなかった。

 万事休すかと思われた、その時。


「君たちが、バルザック領の農民かね?」

 声をかけてきたのは、実直そうな顔つきをした、壮年の騎士だった。彼はガルムと名乗り、王宮騎士団に所属しているという。

 どうやら、バルザック領の驚異的な収穫量増加の噂は、すでに王宮の一部にも届いていたらしい。そして、バルザックの悪評も。

 ガルムは俺たちの話に真剣に耳を傾け、自らの独断で、俺たちを王宮内の一室へと案内してくれた。


 そして、俺たちの運命を決定づける出会いが訪れる。

 俺たちの前に現れたのは、太陽のような金色の髪を持つ、美しい少女だった。彼女こそ、この国の王女、リネット様だった。


「あなたが、コウサクさんですね! お噂はかねがね」

 リネット王女は、王族とは思えないほど気さくに話しかけてきた。彼女はバルザックの悪政を以前から問題視しており、俺たちが持ってきた数々の証拠――不正な税の徴収記録や、領民たちの嘆願書――を見て、事の真相を確信したようだった。

 王女の計らいで、俺たちの訴えは国王陛下の耳にも届いた。数日後、緊急の御前会議が開かれ、俺とバルザックは王の前に召喚された。


 バルザックは、俺を反逆者だとまくし立てたが、もはや無駄な足掻きだった。リネット王女とガルムが用意した追調査の結果、彼の悪行はすべて白日の下に晒された。

 最終的に、バルザックは爵位を剥奪され、領地は没収。失脚した彼の哀れな末路を見届けることなく、俺は法廷を後にした。


 この一件で、俺の能力は国王の知るところとなった。国王は俺を高く評価し、「王国直属の農業顧問」という、前代未聞の役職を与えようとした。貴族としての爵位も与える、と。

 しかし、俺はそれを丁重に断った。


「陛下。俺はただの農民です。これからも、畑を耕して生きていきたい。ただ、俺の力がこの国の役に立つのなら、協力は惜しみません」


 俺の答えに、国王は感心したように頷き、代わりに王都の一角に広大な土地と、研究のための施設を与えてくれた。

 こうして、俺の「魔法農業研究所」が設立されることになった。


 研究所の所長はもちろん俺。ミーヤには、その商才と知識を活かして、副所長兼経理部長として腕を振るってもらうことになった。そして、俺たちの正義感に心打たれたガルムが、なんと騎士を辞めて、研究所の警備主任兼農作業員として加わってくれた。


「俺は、腐敗した騎士団よりも、畑で汗を流す方が性に合っているようだ」

 そう言って、無骨な手で鍬を握るガルムの姿は、妙に様になっていた。


 しかし、俺たちの新たな挑戦は、順風満帆とはいかなかった。

 俺のような平民出身の若者が、王の寵愛を受けていることが、一部の保守的な貴族たちには面白くなかったのだ。

「農民ごときが、我々貴族と肩を並べるなど片腹痛い」

「どうせ、王女様に取り入っただけの成り上がりだろう」

 陰口や嫌がらせは日常茶飯事だった。研究のための予算を横槍で減らされたり、貴重な種を融通してもらえなかったり、妨害は日に日に陰湿さを増していった。


 それでも、俺たちは諦めなかった。

「あいつら、見てろよ。俺たちの作物のすごさで、黙らせてやる!」


 俺は研究に没頭した。ミーヤは持ち前の交渉術で、妨害を切り抜けながら必要な物資を調達してくれた。ガルムは、その実直さで農作業を手伝いながら、研究所を物理的な脅威から守ってくれた。そして、リネット王女も、陰になり日向になり、俺たちを支援し続けてくれた。


 そして、俺たちの努力は、やがて王都の人々の生活を変える、画期的な発明を生み出す。

 一つは、『ルミナスフルーツ』。夜になると、自ら淡い光を放つ果実だ。これを街路樹のように植えることで、高価な魔晶石を使わずとも、夜の王都を明るく照らすことができた。治安の向上にも大きく貢献した。

 もう一つは、『万能薬草の進化種』。これまで治癒が困難だった病や怪我に、驚異的な効果を発揮する薬草だった。これを量産することで、多くの人々の命が救われた。


 俺たちの成果が目に見える形で現れると、あれほど俺たちを馬鹿にしていた貴族たちも、次第に文句を言えなくなっていった。それどころか、「ぜひ我が領地にも、その技術を」と頭を下げてくる者まで現れた。

 王都での新たな挑戦は、困難も多かったが、それ以上に大きなやりがいと、かけがえのない仲間との絆を俺に与えてくれた。俺たちの研究所は、やがてこの国の未来を担う、重要な拠点となっていくのだった。

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