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役立たずと追放された俺の農業スキル、実は作物を兵器や霊薬に進化させる最強の力でした。  作者: 黒崎隼人


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エピローグ

 あれから、さらに十年の月日が流れた――。


 藤田耕作が開拓した『進化の里』は、今や一つの独立した都市国家のような様相を呈していた。世界中から農業を志す者、彼の作る作物を求める者、そして、その平和な暮らしに憧れる者たちが集い、かつての辺境の村は、世界で最も活気と笑顔に満ちた場所となっていた。


 里の中心には、立派な研究学園が建てられ、耕作はそこの名誉学園長として、子供たちに農業の楽しさと大切さを教えている。彼の隣には、変わらぬ美しさを持つ妻のミーヤが寄り添い、少し白髪が増えたガルムが、生徒たちの実習を厳しくも優しく指導している。


「いいか、お前たち! 土への感謝を忘れた者に、良い作物は育てられんぞ!」


 ガルムの檄が飛ぶ中、子供たちは楽しそうに自分たちの畑を耕している。彼らが育てているのは、光るトマトや、空飛ぶカボチャなど、耕作が開発した『第二世代進化作物』だ。


 王都からは、女王となったリネットが時折、視察という名の里帰りにやってくる。彼女は政治のストレスを、里の美味しい空気と、耕作の作る絶品野菜で癒していくのが恒例となっていた。


「やはり、ここの野菜は世界一ですわ。特に、耕作さんが私のために作ってくれた『アンチエイジング・キャロット』は最高です!」

 女王の言葉に、耕作は照れ笑いを浮かべる。


 その日の午後、耕作は里を見渡せる小高い丘の上で、一人、夕日を眺めていた。手には、愛用の鍬が握られている。

 彼の足元には、彼が切り開いてきた広大な畑が、黄金色の夕日に照らされてどこまでも広がっていた。

 それは、彼が生きてきた証そのものだった。


「農業こそ、最強のスキルだ」


 彼は誰に言うともなく、そう呟いた。

 かつては嘲笑の的だったその言葉が、今やこの世界の常識となっている。

 彼は、英雄でも、農神でもない。ただの農民だ。

 しかし、そのただの農民が、世界で最も尊敬される存在になった。


 彼は微笑むと、再び立ち上がり、丘の上の小さな一画を鍬で耕し始めた。

 明日、ここにまた新しい種を蒔くために。

 彼の物語は終わった。だが、彼の畑がもたらす恵みと、彼が蒔いた希望の種は、これからも永遠に、この世界で育ち続けていく。

 土を耕す音が、心地よく世界に響き渡っていた。

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