プロローグ 一か月ぶりの復帰
続きがあったので続きをうp(´・ω・`)。楽しみつつツッコミをいれつつ、読んでいただければ幸いです。
「全く、校長には困ったものですな。私の世間話を勝手に膨らませて暴走するような男を再雇用するとは」
「はは、耳が痛い話です……」
今振り返るとそれも折り込み済みでけしかけたようにしか思えないが……野心家の男にもまだ正義感が残っていたと捉えておくか。
「しかもよくよく話を聞けば魔法省でも鼻つまみ者の占星術部署の出身とは、あれだけ親切にしてやったのに無駄にした気分だ」
呪文学との合同授業にて生徒を見守っている間の世間話が、私に対する愚痴で大半を占める内容となっている現実を、私は苦笑で誤魔化すことしかできなかった。
「挙げ句生徒の一人を異様なまでに贔屓するとは、あのブラウンと一緒に収監されるべきだったのでは?」
「失礼ですが、彼女に関しては何も――」
「何も無いなら、何故ミスウォーカーは決闘の方を見向きもせずに君を見てニコニコとしているのかね」
「それは……」
それは恐らく、私が帰ってきたことがまだ信じられないというくらいに嬉しいから――なんて言おうものなら、自意識過剰が過ぎるだろう。
そもそもブラウンの件を終えてからというもの、ほとんど校長の言っていた通りに事が進んでいた。
本来ならば多大な時間がかかるはずの裁判は一日で終了。しかもこちらに発言権など一切無く、まるで最初から台本が用意されていたかのようにスムーズに終わってしまった。
とはいえ流石に魔法省としてもただで帰すのもメンツが保たれないと、私に対して一ヶ月の謹慎の判決を下した。これもまた後で校長から聞いた話だが、随分と苦情を入れた結果、これで済んでいるということだ。
◆ ◆ ◆
そうして魔法省での軟禁に近い謹慎期間を終えた後、ブルーラルの校門前で待っていたのが――
「……っ! 先生! 先生が帰ってきたぁっ!!」
「久しぶりだね、リリー」
「わしには何もないのかい」
「申し訳ありません校長、ただいま戻りました」
校長から出迎えをいただけるのはある意味予想の範疇だったが、まさか彼女が出迎えに来るとは思ってもいなかった。
「ん? ちょっと待って下さい。この時間はまだ授業中の筈では――」
「ああそうだ、二年生の防衛術だ。また一ヶ月の遅れが出てしまったな」
「……ということは、また自習の時間になっているって事ですか?」
「先生がいないから!」
折角遅れを取り戻しているところだったのだが、この分だとまた苦労しそうだ。
「とにかくおかえり! 先生!」
「はい、ただいま」
ただいまというのも変な話だが、今の自分の居場所はここなのだから、それでいいのかもしれない――
◆ ◆ ◆
「――何を感傷に浸った顔をしているのだバトラー先生。合同授業を終わらせるぞ」
「えっ? ああ、そうですね」
いつの間にか時間も過ぎていたようで、モーガン先生主導の下、戻ってきてから最初の合同授業は、何事もなく過ぎていった。