9.
あの後、スウはレビと他愛もない話を沢山してお昼ご飯を一緒に作って食べ、さらにカードゲームをして午後を過ごした。
夜になると外はまたあの晩のように吹雪が吹き荒れていた
スウが寒さに震えていた晩だ。
でも、とスウはにこにことレビを見上げた。
今なら、隣にレビが居る。
もう寂しいなんて思うことは二度と無いだろう。
スウはこの日常がいつまでも続くと信じきっていた。
レビと二人ならこのまま……。
そう思った時だった。
スウに急激な眠気が襲った。
「うーん、レビ。何だかとても眠いよ。まだ、一緒に夕ご飯作ってないのに」
「……なら、お眠りなさい。スウ」
「でも、でも……レ、ビ」
その言葉を最後に、スウは深く眠っていた。
後ろ手で、レビは魔法の杖をもう一振した。
するとスウの体は宙に浮き、ベッドに移動すると布団を掛けられて収まった。
そのスウの寝顔を見て、レビは苦しそうに息を吐いた。
「ごめんなさい、スウ本当に」
前髪が掛かったスウの額に触れて、レビは顔を歪めた。
「明日になったら、私はうさぎの姿に戻るわ。そして暫く、そのまま。声だけしか届けられないそんな関係になるわ。アイツは魔法を使えるから、きっと結界が張ってあるわ」
でも、とレビは続けた。
「スウが幸せになる道はきっとこれだけだから。私が出来ることなんて、所詮ほんの少しなの」
穏やかな寝息をスウは立てている。
その布団からはみ出た手を握ってレビは自分の額に当てた。
小さな手には、明日が待っていた。
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