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◇秋月 忍様主催企画『サマーシンデレラ企画』参加作品です。
昔むかし。
ある王国があったそうな。
栄えた王国はある日突然滅びてしまった。
飢饉が襲ったとか、戦争にて滅ぼされてしまったのか、理由は定かではない。
ただ、そんな王国の王家には生き延びたという生まれたばかりの王女様が居たという。
侍女の手によって逃げ延び生きた王女様は森の奥の奥で小屋に住み、すくすくと育っていったそうな。
王女様は、自分が王女という立場とは知らず成長していった。
だが、そんな王女と共に生活していた侍女が流行り病で亡くなってしまうと王女様の生活は一気に苦しくなり貧しい生活を送る事となった。
そんな王女様の名前はスウ。
これはあくまで侍女が呼んでいた名前の為、王女様はその名前が本当の名前だと信じていた。
スウが一人っきりとなって初めての冬がやって来た。
「寒いわ……」
震える声でスウは白い息を吐きながら、小屋の中で呟いた。
スウに薪を割る力はなく、森で拾った小枝もすぐに燃え尽きてしまう為暖炉の火は消えていた。
ありったけの衣類を着込んで、ベッドの上で布団に包まりながらスウは寒さに震えていた。
手足の先はもう数分前からしもやけ状態だ。
「ニーラ……」
亡くなった親代わりの彼女の名前を涙ぐみながらスウは呟く。
優しくて力持ちだった彼女はスウが不自由なく暮らせるように、いつも働いていた。
大きくなったスウにこれから家事を徐々に教えてくれる約束だった。
なのに。
泣きたいのを我慢してスウは俯く。
外が静かなのに気付いて、窓辺へと近付く。
「雪、だわ」
今年初の雪だ。
これはきっと積もるだろう。
さすがのスウにでも分かるような降りだった。
目の前がくらりとしてスウはよろめく。
そう言えば、食料も今朝底を尽きたのだった。
カサカサ。
そこで部屋の隅から音がした。
スウがこの秋森で拾ったうさぎの子であった。
名前をレビとスウは呼んでいた。
子ウサギのレビも、お腹が空いたようで前足を箱にカリカリと爪を立てて餌を強請っていた。
「レビ……。あなたにあげるニンジンはあと一本しかないの」
スウは野菜庫からやせ細ったニンジンを取り出すと、レビの前に置いた。
「お食べ。明日は、どうなるか分からないけれど、ごめんなさいね」
そこでスウは眠くなり、目を擦る。
「寝ては……駄目なのに。眠いわ、とても」
誰かが耳元で「寝ては駄目よ」と囁いた声を最後に、スウの意識はそこで途切れた。
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