誓
一緒に行こう
そう 誓いました
私は疾走する 空を駆け抜けて 風を跨ぐ
怖れないで下さい 一緒に行くから
私から離れないで あなたを置き去りにはしない
あなたを一人で 死なせることはないと約束したでしょう?
私たちはどこまでも駆け抜ける
魂が散り散りになって
それが雲の和らぎに紛れ
朝陽と月光の中に溶けるまで
私の背に乗って
私と一緒に空の続きへ
一緒に走ろう
私の背に乗って
私と一緒に あの青の向こうへ
何千年だって待ったでしょう
何億年だって平気でした
あなたを背中に乗せるまで
私はあなた以外に手綱を取らせることはないと
約束したでしょう?
碧玉の渓谷を越え
雪冠頂く雄大な山塊を歩き
遮る壁のない海を照らした 黄金の朝に
俺とお前は一緒に立った
黒いたてがみを冬の風になびかせ
力強い筋肉に熱を持つ 俺の自慢の馬よ
俺とお前が死ぬ時は一緒
何度もお前の躍動で生き延び
何度もお前の勇ましい嘶きに
この剣が唸った
土を抉る硬い蹄 岩を砕く強靭な足
獣さえ怯える お前の嘶きは暗闇でも雷の夜でも
誇りと威厳を掲げるに充分だった
事切れる声でさえ
血の泡吹く震える唇でさえ
揺れた瞳孔が閉じなかった時でさえ
お前は勇敢だった
俺とお前が死ぬ時は 一緒だと
俺が最期にそう言ったのを
俺の声を お前は聞いただろうか
倒れたお前の耳が動いたのは
届いていたのだろうか
主よ
私はあなたの呪いを解いた
あなたの魂が 自由を得た
主よ 一緒に行きましょう
私の背に乗って
私と一緒に 幾千の朝と幾千の夜を走りぬけて
生まれ変わっても あなたを乗せます
一緒に
私と一緒に空の続きへ
一緒に走ろう
私の背に乗って
私と一緒に あの青の向こうへ
安住の場所へ 少しの間
明るい光の中で 一緒に休みましょう
生まれ変わったら
あなたを もう一度迎えに行きます
生まれ変わったら お前にまた会うだろう
俺の黒馬 俺の誇り高い 黒い宝玉
俺の射干玉の剣 俺の安寧 俺の夢
俺とお前の魂は 永遠の誓い
また 私の背に乗って
また お前の背に乗って
一緒に