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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
90/214

第90ターン 名人夢原の格ゲー感想戦

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 剣ヶ峰の闘い、土俵際で踏みとどまったのはチーム夢原、花崎の奮戦だ。中堅戦を二本連取で制し、純が待つ大将戦へと繋いでみせた。


 やったね、オタク族!クー子が花崎とハイタッチ。純もヘッドロックで手荒い祝福。大喜びの弟子達に目を細める格ゲーのパイオニア夢原省吾が言う。


「ヲタ、よく練習の成果を活かしたな。しかも実戦でアレンジも加えて。」


「はい、マスター夢。こちらが近づけは必ず相手はカウンター狙いで一番自信のある中パンチを出してくる。」


 それを敢えて引き出しておいて、防御からの小パン連発か、純も感想戦に参入する。


「小パンチを上下に打ち分けた所は秀逸だったゾ。相手の防御はついてこれなかった。」


 そして相手が焦って繰り出す大技、隙が生まれるところに無敵付き飛竜拳、見事な戦略だったと夢原が花崎の勝利を総括した。


「ねぇ、夢サン、無敵付きって何ダロ?」


 クー子の素朴な質問が飛んで来たが、そこはJAROって何ジャロ、と韜晦してみせる業界のエージェント夢原。子どもは未だ知らなくていい、そんな親心が垣間見られた瞬間だ。


 花崎は家督を争うこの闘いに、自らの力で逆王手をかけた。このエモォーショナルな活躍に、会場のサンシャイン学院大講堂はアウェイチームを讃える空気感が広がる。


「お、お兄様、やるじぁあーりませんか!アハハ。」


 悪意の百貨店、妹の花崎蘭子が動揺している。あと一敗すれば彼女の野望は塵と消え、医療法人花崎会の跡取りの夢が潰えてしまう。


「ア、新井!次のゲーマーは、次のは大丈夫なの?!」


 またしてもメガホンで蘭子親衛隊長・新井の頭をポコポコ叩いては悲鳴を上げる。


「ツ、次はこれまでとは格が違います。本物の格ゲーマーです、はい!」


「心配無用に御座候。小生が彼らの一時の夢を絶望に変えてみせましょう。」


 大将戦。デスメタルの最終兵器、究極のニヒリスト、蛭田恭介がコントローラーを手に取った。


つづく


人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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