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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
78/214

第78ターン 差し合い読み合いエトセトラ

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 ぐうたら、この四文字のベストドレッサー、河内良人。彼はエド主水が突っ張りだけを連発する怠惰な省エネ戦法に加え、新たにサバ折りをという技を「発見」した。


「オイッ、夢サン!ありゃなんだ!」

「なんて破廉恥な技だ、エロティック!」


 純と花崎が驚きと抗議の声を上げる。マズかったと独りごちる格ゲー・マイスター夢原。プレイヤー2のL1ボタンも投げ技用にカスタマイズしていたのが仇となってしまった。


 ボタン一つで投げ技を出せる、楽チンでちょっとエッチなこの拷問技にご満悦の河内。相撲レスラー、エド主水のキャラクター付けとプレイヤーの品性がピタッとハマった案配だ。


「ようし、もう一丁。ムフ。」


 河内がL1ボタンを押す。エド主水がチャンリーを抱きしめるムーブに入ると、今度はクー子のチャンリーが反射的に蹴りの連打、「百発蹴」をお見舞いする。


「アホ、ヤメレ〜エッチ・スケッチ・ワンタッチ!」


 サバけたクー子もやはり年頃の女のコ。たとえ画面の中でもタイプじゃない男に抱きつかれるのはノーサンキューだ。


「うわぁ、なんだよぉ〜」


 百発蹴を被弾して体力ゲージガ残り30%ほどに減り、慌てる河内・エド主水。後退してクー子・チャンリーと睨み合う。


 ここに来て二人の初心者格ゲーマー、クー子と河内があるジレンマに陥る。


 対戦開始直後は二人ともキック、パンチの連打のみを攻撃としたが、互いに新たな選択肢、投げ技が加わった。


 つまり面倒臭がりの彼らは、とにかく相手の連続攻撃をガードして、その切れ目に自分の連続攻撃を差し込むといった戦術だったが、ガードで待ち構えていると相手に投げられるかも知れないというリスクに気づいたのだ。


 彼らは相手の出方を読むという格ゲーの深みに初めてその足を踏み入れたのだった。


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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