第7ターン クー子、DSを握る
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。
何だとぉ!純がキザ君のセリフに反発する間もなく隣にいたクー子が先に吠えた。
「バカとは何よ、バカとは!アンタ何者?名乗りなさいよ!」
純を愚弄されて黙っているクー子ではない。キザ君に猛烈な敵愾心を見せている。
「おっと、こいつはいけない。失礼、レディース。僕ぁ、この病院の跡取り息子の花崎 誇、エイティーン、高校三年生さ。」
「さぁ、ゲームはリアルじゃないとか言うなら、さぞ簡単にやって見せてくれるンだよね。空手家さん!」
と言って、花崎はニンテンドーDSを純の枕元に投げつけた。
ウルサイ俺っちは少林寺拳法だっ、こんなもの簡単だ、と言いながら純はDSに手に取ったが、
「ゆ、指か動かねえ。。怪我で麻痺が残ってるのか??」
おやおや、と嘲笑する花崎。たまらずクー子が私がやるワ、とDSを純から奪うとバト2のキャラを選択。
チャイナドレスの美人格闘家を目ざとく見つけて、私に似てるワと、全員スルーの軽口を叩きながら、見様見真似でバト2を始めたのだった。
つづく