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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
67/214

第67ターン 純情クー子の格ゲー修行

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

「気流〜拳!あ、出ないや。」


 第3の各ゲーマー、東亜の純情ことクー子の特訓がはじまったが、早くも不穏な空気が流れている。蘭子らとの対戦メンバーに威勢よく名乗りを挙げたものの格ゲーはド素人。プレイ経験が無いに等しい。


 もちろん、格ゲー界のレジェンド、名伯楽のマスター夢原が指導に当たるのだが、乗っけから壁にぶち当たった。クー子は恐ろしく飽きっぽいのだ。


 あたしャこんな辛気臭いことは苦手ダヨと、人気漫画の主人公よろしくブーブー不満を垂れ流す。


 マブダチの純もクー子の飽きっぽい性格は何となく分かっていたが、ここまでとは思っていなかった。ハッキリ言ってクー子の堪え性の無さといったらほとんどビョーキだ。


 レディース、クー子くん。駄目じゃないかと花崎がたしなめる。金持ちボンボンキャラの我まま花崎がたしなめるなんて、まるであべこべ。夢原も苦笑してしまう。


 クー子がバト2を始めるにあって夢原はアメリカンな空手家ゲンをクー子に勧めた。ゲンはバト2の基本キャラ、オーソドックスな技のレパートリーがあり、その上スピードも悪くない。


「あーもう駄目ナノダ、全然上手くいかないじゃん!」


 始めてまだ30分も経っていないのに、はや根をあげている。


「オイッ、クー子!我儘言うんじやあない。お前、ヲタを助けるんダロ?辛抱して練習しろよ!」


 純もある意味、瞬間湯沸器。カッとなってクー子を叱責する。花崎への恩返しを持ち出されるとクー子も分が悪い。


 ハイハイ分かりましたと、コマ技の練習を再開する。慣れない手付きでつまらなそうにコントローラーを握る。


 さて、どうしようか。夢原は悩む。最初にコマ技を教えているのは派手な技を体得させて格ゲーの楽しさを教える為、格ゲーを好きになってもらう為。


 ところがそのコマ技が出なくてクー子は早くも格ゲーアレルギーに陥っている。どしたものか。仕方ない、あれで行くか。


 「クー子ちゃん、こっちのキャラに変えてみるか?中国拳法の達人、趙莉・チャンリーだ。」


 あ、このかわいい娘、アタイにちょっと似てるゾ、と満更でもない様子。そんな戯言たわごとを純ら男衆は一顧だにしない。完全スルーだ。


「まずはキックボダン、連発してみろ。」


 夢原の教えの通りクー子が○ボタンを連打すると画面の中の美少女はチャイナドレスも乱れるままに強烈な蹴りを連発する。


「キャッ!これ、いい。簡単簡単!」


 手のひらを返したようにゴキゲンになるクー子。蹴りの連発でCPUの対戦キャラクターを半殺しにして爽快な表情を見せる。


 一方、夢原は複雑な思いになる。この技、このキャラ。


 格ゲーマーは単調な技に慣れてしまうと、プレイが雑になる。また、超火力の技に依存して闘いを重ねたとて、いずれは頭打ちになってしまう。


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。故あって格ゲーマーとなる。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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