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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
65/214

第65ターン 花崎家の食卓

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

「お兄様もお人が悪うゴザイマスわね。」


 夕餉の食卓を囲む花崎一家。いつも会話の主導権は愛娘の蘭子が握る。


 何のことだと問う兄の誇に対して軽蔑しきった眼つきで、呆れたと言わんばかりに責立てる。


「わざとらしい。今日、我が学び舎サンシャイン学院に、あの格ゲーお馬鹿と債務者が探索に来ましたのよ。お兄様の差し金でございましょ?」


 知らないな、と言葉少なに答える兄。子どもの頃からこの年の近い妹が苦手だ。どんなことでもソツなくこなす妹に兄は暗い劣等感を感じていた。通う高校も違う。


「ねぇ、お父様。アタクシがお兄様達に格ゲー対戦に勝ったら、病院の跡取りはアタクシになるお約束、覚えてますわよね。」


 甘えて父のDrケーシー花崎に詰め寄る蘭子。ケーシーはおどけてみせて、勿論覚えてるよとニヤリ。


「なんせ、あのクランケは私の大事な研究材料、被験体ですよ。しっかりリハビリしてもらわんとね。」


 格ゲー・リハビリの効果は確実に出てきている。データも揃ってきたから、こらからは論文作りと厚労省との調整。ゲーム業界サンとも、、


「患者さんを被験体なんて止してください、そんなあからさまに。」


 花崎の妻が口をはさむ。彼女は大学病院の精神科に勤務しており、日々仕事に忙殺されている。一家揃って食卓を囲むのも久しぶりだ。出来れば楽しい話をしたい。


 そうか、あのお馬鹿はお父様のモルモットなんだ。かわいそ、アハハ。ふ~んと訳知り顔でグラスのミネラルウォーターを飲み干す蘭子。 


「蘭子、どうやって格ゲーマーを集めるつもりだ。お前がプレイするんじゃないんだろ。誰にさせるんだ、どうせ誰もいないだろ。」


 花崎が妹を挑発しながら、それとなく対戦相手を聞き出す。異常なまでに負けず嫌いな妹と長年対峙してきた花崎が培ってきた手練手管だ。


「フンッ。それが思わぬ所に、お(あつら)え向きの、、あ、ここからは企業秘密ですわ、ホホホ。」


 こちらは三人、お兄様達も三人揃えて下さいマセ。ア〜、ハッハッハ!


つづく

人物紹介

・日乃本 純

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。


・音々

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支えている博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・Drケーシー花崎

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを実証中。


・事務長

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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