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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
64/214

第64ターン 絶望王子、蛭田登場

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 ボサボサの髪型、暗い表情、とりわけ拗ねたような眼つきが悪印象を増幅させる。


「拾えって言ってるんだよ、カス。」


 ボソボソとその生徒は繰り返す。あ、メンゴメンゴとフランクに詫びて、クー子が本を拾って手渡す。


 フンッと礼も言わずに本を引ったくるように受け取るボサボサ君。純が敵愾心を露わにする。


「蛭田、古臭い本を読んでんだな。」


 新井が言う。どうも彼らは知り合いのようだ。ほっとけ、とボソボソ。そしてチクリ。


「お前、未だカムロ隊やってるのか、ケケケ。」


「おう、お前が抜けたおかげで今は隊長だ。」


 新井がムッとして返す。カムロ隊?どうやら花崎蘭子の親衛隊のことらしい。このボサボサ君は新井と一緒に隊に居たのか?


「ケ、イタイな。勝手にやってろ。」


 だいいち、お前がリーダーなんて荷が重いだろと、新井のイタイ所を突いてくる。


「じゃお前は今、何やってんだよ。読書か、お利口さんぶりやがって。」


 読書なんて暇潰し。一切は過ぎてます、サヨナラだけが人生さ、と何やら気取った捨て台詞をうそぶいて、ボサボサ君こと蛭田は去って行った。


 残された純ら三人。蛭田のニヒルな振る舞いに不快指数が頂点へと急上昇した。全く気分の悪い奴だと、ブウブウわめく。


 何だあの髪型、何だあのタンクトップ、何だあのミリタリーパンツ!言える限りの悪口を叩く。そしてクー子が言った。


「それにサ、アイツに本を渡した時、ビックリしたよ。右の親指が指圧師みたくヤタラとデカくてサ。」


浪越徳治郎かッ!?クー子はからから笑ってみせた。


つづく

人物紹介

・日乃本 純

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。


・音々

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支えている博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・Drケーシー花崎

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを実証中。


・事務長

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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