第6ターン 俺っち、初めて格ゲーに触れる
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語
純の格ゲー批判は止まらない。
「だいたい、そんなカメハメ波みたいなの*1、現実に誰が出せるンだよ!」
[註1]本作中の格闘ゲーム、ロードバトラー2略称バト2のキャラクターが念動力によって波動を繰り出す技を指している
「マッタク、格闘技もしたことのない引きこもりのオタク族はこれだからなぁ!」
ゲームやマンガ等々、二次元の世界に現実世界のモノサシを持ち込むという不粋ながら破壊力タップリの荒業にキザ君は二の句が告げない。
しかし、そんなキザ君に助け舟を出したのは以外な人物だった。
「違うわ、純。念動力は存在するのよ、ワンインチパンチなら純も聞いたことがあるでしょ?
体内の波動、つまり"気"の攻撃は現実にあるのよ。ゲームは非現実じゃない。」
「ね、姉ちゃん、何でこんな奴の肩持つンだよ!」
「あ、姉ちゃん余計なこと言っちゃったね」
純の姉、音々(ねね)はメンゴ、メンゴと言いながら手のひらで自分の顔を扇いで見せた。
しかし、とっさの事とはいえ、何故、音々が急に格ゲーを擁護したのか。クー子は不審に思った。
「ほう、こちらのレディース、よく分かってらっしゃる!おい、空手バカ一代、ケチつけるなら、バト2やってみろよ!」
音々の言に蘇生した打たれ弱いブルジョア、キザ君がニンテンドーDSを純に突きつけた。
つづく