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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
53/214

第53ターン 俺っち、ナニワ兄弟の弱点を識る

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 

 打つ手の無くなったナニワAキー坊が操るダラ・シン。苦し紛れのワンパターンな伸び伸び中パンチ。


 自信を深めた花崎が、そんな安直な攻撃を見逃すはずがない。


 バックステップ、

 ジャンプ、

 アッパーカット


 「ヒリューケーン!!」


 純とクー子が唱和する。小さく拳を握る音々。サムズアップのマスター夢原。


 そしてコントローラーを天高く投げ捨て右腕を突き上げる花崎誇。ゲン、ウィン!劇的な逆転勝利に病室は興奮の坩堝るつぼと化す。


 花崎がキー坊に勝利したことでナニワ兄弟との対戦成績をイーブンに戻した純と花崎のフレッシュコンビ。完全決着にはもう一戦必要となった。


 軍師、夢原がナニワ兄弟に提案する。どうだ、決着つけないか。勝者同士で一本勝負、ゲン対ハシミコフだ。


 「や、やったろうやないか!なぁ兄弟!」


 「モチのロンや!まぐれで勝って調子乗んなや、気まぐれオレンジロード!」


 見栄っ張りの典型的な大阪人、ナニワ兄弟が断るはずがない。彼らの弱点を掴んだ花崎の勝利は闘う前から決まったも同然。罠に掛かった中途半端な格ゲーマー二人を夢原は冷やかに見つめながら考えてる。


 それにしても音々さん。缶コーラをお手玉のように、右手から左手、左手から右手に投げては取って、取っては投げて。ナニワ兄弟の弱点をズバリ見抜いていた。やはり彼女は、、、


 と、そこに病室で唯一退屈そうな顔をしていたさっきの闖入者、花崎の妹が割って入る。


 「庶民の大阪人、ヘタクソですわね。」

 「特に画面の左側だと弱々ですわ。アァ〜ハッハッハ!」


 「あ、アタシも変だと思ってたゾ。右側から左にまわると急に弱くなるノダ。アハハ!」


 クー子も屈託なく同調する。そうだったのか!冴えねえ奴らだと、したり顔の純。


 言葉を失い顔面蒼白となる夢原と花崎。それをバラすな、バラしてくれるな。


 恥ずかしそうに頬を染めるもニヤリと横目を合わせるナニワ兄弟。ヘッそうやったんか、バレたか。そやけどもう負けへんで。


 キー坊は花崎が投げ捨てたコントローラーをサッと拾いヒロシに手渡す。ヒロシはプレイヤー1、抜け目なく左のポジションを確保する。


 仲良しコンビのナニワ兄弟、エキスペリエンスはいつも二人で対戦プレイの練習をしていたのだろう。自然と一方がコントローラー1、つまり画面左から右攻め→→。そしてもう一方がコントローラー2で右から左攻め←←。


 この関係性が半ば固定化され、コマ技のような細かい指捌さばきの時に得意な操作↓↘→、不得意な操作↓↙←が生まれてしまった。それが彼らの弱点だったのだ。


つづく

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