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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
51/214

第51ターン 花崎、初コンボ

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 甲高い笑い声。それは傲慢という字を音にした、そんな響きだ。クッ、一瞬花崎の集中が途切れる。第3ラウンドは始まっているぞ。ダラ・シンの中キック被弾!


 「オィッ!突然、乱入してきてお前何ナノダ?」


 一本気・正統の系譜、クー子がピシャリと闖入者にお見舞いする。


 「厶ッ、なんですの、この下賤のメス猿は?事務長!」


 「お、お嬢様、この者はお兄様、ほこる様の、、」


 お前らウルサイ!オタク族*の邪魔すんな!と凄んだ純の剣幕に三人は怯んで黙り込む。そうだ、今は闘いに集中すべきだ。


 [註]純が花崎に付けた蔑称、今では友情の証となっている


 TVモニターに目を移すと、さっきの混乱の影響か、花崎がやや押されている。距離を取りながら、互いにポジションを譲らないといった戦況。


 「ヲタ、落ち着いてチャンスを待て!」


 夢原の指示にアイノォウェル、と堪能なイングリッシュで返す花崎。どうやら冷静さを取り戻したようだ。


 相手、ビビってんゾ!ビビり、ビビり!煽り倒すナニワBヒロシ、口撃型ツープラトンは健在だ。しかし花崎は意に介さない。


 なぜなら、音々の啓示と夢原の指示から、対戦相手ナニワAキー坊の弱点がハッキリ分かったからだ。


 それをナニワAキー坊に悟られず、再度、第2ラウンドと同じ展開、状況に持っていけるか。業界最高の軍師、マスター夢原は思案する。


 第3ラウンド残り45秒、ナニワAキー坊が操るターバンを巻いたヒンドゥーの行者、ダラ・シンが残り体力で若干優勢な状況。さて、どうする?花崎。


 「ホラホラ、兄さん、動かんかったら削られるだけやでぇ!」


 挑発しながら、手足の伸びる中キック、中パンチをこすってくるナニワAのダラ・シン。警戒してか、例のテレポートは使ってこない。このままでは花崎ゲンはジリ貧だ。


 「ヲタ。いいか、指示通り動け、やってみろ!」


 アイトライ!意を決した花崎。クー子クンを僕がゼッタイに護る、ナニワ兄弟、悪徳債権者を許すものか!


 ダラ・シンの伸び伸び中パンチが襲ってくる。


 「今だ、バックステップ!」


 ←←夢原の合図に呼応した花崎。ダラ・シンの中パンチをかわし、


 「飛竜拳!!」


 花崎は方向キーを滑らかに→↘→四半旋回させ、間を空けず中パンチボタン△を押す。見事なカウンターがダラ・シンにヒット!体力ゲージがグッと減る。


 ゲッ、ゲエー!下品な呻き声を上げるナニワAキー坊。戦隊モノの悪役顔負けだ。


 「やった!、ス、スゲェ、今の何だ!?」


 驚く純にマスター夢原がサラリと語る。


 「コンボ、コンボの一種だ。初歩の初歩だがな。」


 ミーが、このミーが、あの「コンボ」をやったのか?驚きを隠せない、興奮した様子の花崎だったが、その表情は次第に自信に満ちたものに変わっていった。


つづく

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