第47ターン ヨーガの奇人変人ダル・シン
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。
純と花崎のフレッシュコンビとナニワ兄弟の決戦、それは純のダチ、クー子の人生を左右する決して負けることの出来ない闘いでもあった。
純が敗れフレッシュコンビは後が無い。花崎が皆の願いを一身に背負う。悲壮とも言える状況にあって花崎本人の横顔は何故か静かだ。
と、そこに花崎サポーターが現れる。仕事を終えた事務長と花崎のパパ、Drケーシー花崎。顔に何かペイントの類を施して花崎オーレオーレとナニワ兄弟にアウェーの圧迫感をお見舞いする。
アホか、と苦笑したナニワ兄弟も負けじと関西のアンセム、六甲おろしを歌い始める。図らずも静岡と大阪のお国柄がぶつかり合った格好だ。
「行くでぇ、コミック、ボンボン!」
ナニワAキー坊の掛け声でついに運命の第二戦が始まる。ヨーガマスター、ナニワAダラ・シンとアメリカンな空手家、花崎・ゲン、勝つのはどっちだ!
「ヲタ*、距離を取れ!」
[註] くどいようだが、夢原が花崎に付けた愛称
マスター夢原の指示が飛ぶ。手足が伸びる奇人変人ダラ・シン。迂闊に近づくとヤケドしてしまう。花崎は指示通りバックステップ、そして飛び道具の気流拳。
すると、ダル・シンはフワッと垂直ジャンプで気流拳をかわし、フッと画面から消えてしまった!そして突然、ゲンの側に現れ、頭突きをお見舞いする!
そのトリッキーな闘い方に花崎は乗っけから混乱。病室のサポーター連中も唖然として言葉が出ない。独りナニワBヒロシだけが、やったぜベイビーと囃し立てる。
アウェーチームが会場の雰囲気をゴロッと変えたが、百戦錬磨のツワモノ、夢原省吾だけは落着き払っていた。
奇をてらった闘い方には必ず穴がある。聞こえないくらいの声で格ゲーの達人はそのセオリーを囁いた。
つづく