第41ターン 俺っち、優勢に試合を進める
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。
クー子とその家族の命運を掛けた決戦がついに始まった。第一戦は純VSナニワB・ヒロシだ。今回のテーマは距離と間の闘い、夢原省吾コーチはそう位置づけたと後に語った。
先ず純・リョウはバックステップで距離を取る。そして飛び道具、気流拳でジャブを放つ。ナニワB・ハシミコフはこれを垂直ジャンプでかわす。
純はすかさず二の矢、三の矢を連発する。時折、方向キーの入力を誤り、虚空に中パンチを打ち込んでしまう。ナニワBがヒャッヒャッと嘲笑う。そしてその隙にグッと距離を縮める。
ナニワBのキャラ、ハシミコフは旧ソ連のレスラーで飛び道具は持っていない。必然的に近距離での攻撃、とりわけ投げ技を狙ってくる。
「純、距離、距離!バックステップ!」
セコンドの夢原が純に指示を出す。それに応えて、純は方向キーを右に素早く二度プッシュ。
「いいよ、いいよ純。いい間だよ!」
クー子が師匠顔負けの声援を送る。一方、黙って戦況を見守る敵陣営のナニワAキー坊。それがかえって不気味だ。
純の飛び道具に嫌気が差したナニワB・ハシミコフが強引に近づこうとして、純・リョウの気流拳を被弾、グッとハシミコフの体力ゲージが減る。
序盤戦は純にとって狙い通りの展開となった。
つづく