第4ターン 俺っち、DSを知る
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語
「おい、姉ちゃん、あれは、、何だ」
突如の闖入者、純の病室に遠慮会釈なく入ってきた高校生。姉の音々(ねね)も不審に思ったが、純の関心はその高校生の右手の中にある見慣れない機械だった。
「何かなぁ?姉ちゃん、、あまりメカには詳しくないから。ゴメン、女性が宇宙に行く時代だけど、未だにメカニックには弱いのよ。」
音々は何処か言い訳がましく、純の質問に応えた。誰でも一度は見たことがあるゲーム機なのだが。
「何だ、ゲーム機を見たことないのかい?信じられないねえ!」
いけ好かない闖入生が、シュールな前髪を掻き上げながら冷笑した。すかさずクー子が鋭い目を向ける。純を馬鹿にする輩は許さない、いつだって。
「おいおい、そんなに怒らないでよ、レディース。おい、ユー。触ってみたいのか、このニンテンドウDSを。」
闖入生はDSを純の鼻先に向けてチッと舌打ちした。音々をチラチラ見てもいる。
「なんだよ、キザ野郎!ゲーム機なんて触りたかねえよ、俺っちは!」
「ふん、触りたくないんじゃなくて、触れないんじゃないのかい、その身体じゃ。」
キザはフフンと嘲笑ってこう続けた。
「やりたかったら、やらせてやるぜ。この最新の格闘ゲーム、ロードバトラー2、バト2を。」
つづく