第35ターン 俺っち、ナニワの挑戦を受ける
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。
ソックリ兄弟、ナニワ・エキスペリエンスが突きつけた借用書の写し。そこには清水節子の名前がある、間違いなくクー子の母の名だ。
この証文、本当に母の手によるものか?別れてもう10年近くになる。母の筆跡までは覚えていない、、、クー子が黙ってしまったので音々もナニワに強く出れない。
痺れを切らせた純がお前らの挑戦を受けてやる、格ゲー対戦やってやると啖呵を切り、そしてこう続けた。
「その代りに俺っちがお前らに勝ったら、クー子の母ちゃんと弟に変なことするな、約束しろ!」
「フン、ええで。そやけど俺らが勝ったらどうしてくれんねん?」
ナニワ兄弟が人差し指でメガネをクイッと上げながら、狡い交換条件を付けてくる。
「その時はクー子をお前らの好きにしろ!」
えー!純の即答に絶句するクー子。心配すんな、俺っちは絶対に負けねえ。こんな五分刈りメガネに負けるものか。
「なぁ、姉ちゃん、、いいだろ?」
純の格ゲーはあくまでもリハビリ。そしてその実証実験。人間との対戦は姉の音々に禁止されていた。しかし、純が闘わねばクー子の家族が危うい。
黙って頷く音々。ナニワの脅しには半信半疑だが、クー子が否定しない以上、仕方がない。
そこに一度病室を出て行った花崎が戻ってきた。そして、ナニワ・エキスペリエンスを睨みつけた。
「もう一度、もう一度ミーと闘え!」
つづく