第3ターン ライバル花崎登場
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語
しばしの笑い声、それも途切れて沈黙が舞い戻った。クー子はまた深刻な顔になり、姉の音々は静かに純を見つめている。
「、、姉ちゃん。俺っち、いつ退院出来るかな?」
純は作り笑いで問いかけた。未だ、分からない今は回復に集中よ、と音々は答えた。
入院から2週間が過ぎ、集中治療室を出て一般病棟に移った純。首や手はある程度動くものの、指の麻痺が続いている。
そして下半身は全く動くず、用を足すのに苦労する毎日が続いている。早く良くなりたい、拳法の道場に通いたい。純の不満と不安は溢れつつあった。
「坊っちゃん、いけません、お止めになって
下さい、、」
病室の扉が開くと、同時に慌てふためく声が純達の耳を驚かした。
「ナンセンス。僕かぁこの病院の跡取りだぞ!どうして自分の部屋に入ってはいけないノダ!」
純の病室に突如乱入してきた若者。歳の頃は純と同じ高校生か。鼻を鳴らしてあたりを見回したその若者の手には小型の機械が握られていた。
ゲーム機を持っていない純はそれが大人気のニンテンドウDSであることを知らない。
つづく