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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
213/214

第213ターン 俺っちの格ゲー党宣言

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

 格ゲーを極める、その先には父がいるかも知れない。賭ける、その僅かな希望に賭けてみたい。


「どうするのよ、馬鹿ゲーマー。」


「、、やる。俺っちは、、格ゲーを極めてやる、イェ〜ス!!」


 蘭子の問いに純はコントローラーを掴んで突き上げ高らかに宣誓すると静かになっていた会場、関帝廟のヴォルテージが一気に高揚する。ヒッノモト、ヒッノモト!と観衆が純にエールを送る。


「オオッ!そうと聞いたらハナシは早い。」


 坊主に耳寄りな情報やで、とルンペンのオッチャンは馴れ馴れしく純にすり寄って来る。そして小汚いのリュックサックから端の折れたチラシを取り出す。


「なんと、あのプレイステーションが新しくなる、プレイステーション4がついに発売になるんや!」


「これに合わせてロードバトラー*の新作、ロードバトラー3が発売されるで!」


[註]本作中に登場する格闘ゲーム


「で、驚くなかれ!このバト3はなぁ、ネット対戦が出来る画期的なシステムなんや!」


 まさに立て板に水。用意されてたかのような宣伝文句、口上を言ってみせるオッチャン。が純がプリミティブな疑問を呈する。


「ネット対戦?なんだそりゃ?」


 ITオンチ、若者には珍しい情報弱者の純。要するにな、インターネット上で対戦相手を見つけて、、、と呆れ顔のオッチャン。


「まあええ、どっちにしても今日この場でプレイステーション4とロードバトラー3を同時予約したら、出血大サービスの値引きさせてもらうで!」


 どうや、会場の皆さんも!予約受付開始や〜安しときまっせぇ!予約は限定やで〜


「まさか、、オッチャン、、」


コーチmakoは目を丸くして呆れ顔。ム〜ドは笑いがこらえられず噴き出してしまう。


「要するにプレステの営業に来てたのか、大阪から横浜まで。行商人か。」 


「ま、では吾輩らはここで失礼する。青木、白井、玄田、行くゾ!ヨシッ。」


 やったもんだ♪すったもんだ♪と四人乗りの自転車に乗って逃げ去って行くDr.木浪と神獣倶楽部。その後ろ姿を眺めながらmakoとム〜ドは確信していた。


 何かを隠している、ドクター木浪は未だ何かを隠している。


 父を訪ねる格ゲーの旅に出ることにした孤高の純。だが彼は独りではない。


「みんなも俺っちと一緒に格ゲー、続けてくれるよな。」


 純がチーム夢原の面々にそう誘った時、クー子と蛭田は笑顔で頷いたが、チームのカピタン花崎の顔は暗い陰を落とした。


つづく


人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・日乃本尊 ひのもと たける

純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ

青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。


・ム〜ド む〜ど

夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。


・mako まこ

ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。ドクター花崎に恨みを抱いていた。


・ルンペンのオッチャン

 自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。


・木浪伸之介

 脳外科の世界的権威。日乃本 尊と繋がりのある人物。格闘ゲームのリハビリ応用を研究していたようだ。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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