第21ターン 掟破りの逆烈風脚!
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。
「!な、なんでコマ技が出来るンだ?」
バト2のマニュアルを黒塗りで提供し、コマ技を封じた姑息な花崎。ところが純は烈風脚を出してみせたのだ。
「日乃本、お前いつコマ技覚えたンだよ!」
狼狽した花崎が純リョウが放つ烈風脚の餌食となる。たちまち花崎の操るゲンの体力は、完全に削られてしまった。リョウ、ウィン!
三本勝負の一本目は純が先取。病室は純の押せ押せムードに高揚する。ブルジョアの息子を粉砕しろ!と物騒にアジる輩もいる。
「オイッ、事務長!」
花崎は執事に命じて烈風脚対策を調べさせる。同時に第2ラウンドが始まる。レディファイ!
花崎は苦し紛れに飛び道具の気流拳を放つ。純は例の垂直跳びでかわしながら攻撃の機会を探る。
そんな中、マニュアルを読み込んでいた事務長(執事)が花崎に注進する。
「坊ちゃま、烈風脚は気流拳の逆とキックでございます、↓↙←(✕)で出せます!」
何だとぉ、と訳もなく事務長を一喝すると、花崎はゲンの烈風脚を出してみせた。それが丁度、垂直跳びから着地する純のリョウにヒットする。
見たか!これぞ、掟破りの逆烈風!興奮して吠える花崎。卑怯だとクレームをつけるクー子。
「そ、そうか、、リョウとゲンは同じタイプの空手家だから、コマ技もカブるのか、、」
勝負の流れは純の優勢から一転して花崎に傾いたのだった。つづく