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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
203/214

第203ターン チーム夢原、総出の臨戦体制

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

「ふうむ、ふうむ、ヨシッ。神獣倶楽部はそんな約束をしたんだね、日乃本タケルに関して情報提供をすると。」


 Dr.木浪はそう言うとふらりとニ、三歩あるいて、ドッカとゲーミングチェアに深く座り込む。そして勿体もったいをつけて話始める。


「ヨシッ。日乃本タケル君について少しばかしお話しようかなぁ。タケル君は、、」


 純と音々、日乃本タケルの子ども達は固唾を飲んでDr.木浪の言葉を待つ。


「タケル君は、、、男性でした、日本人でしたッ、以上。ヨシッ!」


「おんどりああああぁ〜ぶっくぅぉろす!!」


 純が絶叫する、音々も目を剥いて怒りをあらわにする。クー子がセイント・リカよろしくヒップアタックのモーションに入れば、花崎と蛭田も怒を発していきり立つ。


 まさにチーム夢原、総出の臨戦体制におふざけが過ぎたDr.木浪がつぶらな瞳をパチパチさせながら弁明する。


「ジョーダン、ジョーダン、JOD・AN!」


「コイツほんまにヤッちまわんとあかんワ!!」


 ついにナニワの理系女子、コーチmakoの堪忍袋の緒が切れる。咄嗟とっさにエッチな穏健派、ム〜ドが懸命にmakoをたしなめる。そしてチーム一の年長者として、Dr.木浪に対峙する。


「Dr.木浪。純クンの父親、日乃本タケルはあなたの研究と何らかの関わりがあったハズだ。」


 そのム〜ドの言葉に刹那、冷たい眼つきに変わったDr.木浪。makoはその僅かな変化を見逃さなかったが、木浪はすぐに童顔おじさんに戻って続ける。


「まぁ、なんというか、タケル君は爽やか。その一言。ん、いい思い出。秋晴れみたいな、ヨシッ。」


「いい加減にしろドクター!父親のことを知りたい子ども達の想いが分からないのか!」


 ム〜ドが一喝する。大事な所で弟子の為に、仲間の為に怒れる漢、それがム〜ドだ。要所を心得ているという点は格ゲーのプレイスタイルにも表れている。


 ム〜ドに迫られたDr.木浪は軽く地を蹴ってゲーミングチェアごとくるりと回り、純らに背を向けて独りごちた。


「なんでも知れば良いというものでもない。知って傷つき、夢が壊れることもある。」


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・日乃本尊 ひのもと たける

純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ

青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。


・ム〜ド む〜ど

夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。


・mako まこ

ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、


・ルンペンのオッチャン

 自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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