第201ターン ビックリ?Dr.木浪伸之介の独演会
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。
突如現れた小太りな初老の男がチーム夢原と神獣倶楽部のモメごとを預かるという。クリッとしたどんぐり眼が印象的だ。
「ちょいと少年オジサン!急に出てきてサ、あんた何者ナノダ?」
そんなクー子の疑問に答えたのは当の本人ではなく、Dr.ケーシー花崎だった。
「何故だ!?アンタが、脳外科の世界的オゥソリィティーDr.木浪がどうしてこの会場にいるのだ!」
「イカにも墨にも。吾輩が世界的権威Dr.木浪デア〜ル。」
何故ここにいるか。よろしい、答えてしんぜよう。そもそもこの神獣倶楽部なる3人の青年達。
「なあ、青木よ。白井も玄田も、格闘ゲームは楽しかったか?吾輩が自ら手解きしたが、まあ一ヶ月の練習なら上出来なほうだ、ヨシッ。」
と、神獣倶楽部の3人に声をかけて話を続ける。そう、この青年達は我帝国大医学部の研修医、吾輩の弟子達なのだよと。
「ホワット!神獣倶楽部があなたの弟子だって?Dr.伸之介・木浪、今回の陰謀は全てあなた企てなのか?」
しゃあしゃあと種明かしをするDr.木浪。これに猛反発するチーム夢原のカピタン、花崎 誇。一時は純との友情にヒビを入れられた訳だから、神獣倶楽部の親玉は絶対に許せない。
「ん?青少年よ。吾輩は企て、なんてことは何もしておらんよ。そこの中年期の男がお節介にも格ゲーリハビリの情報を何度も提供してくれたが、そんなもの、吾輩は疾うの昔から知っておる、ヨシッ。」
というか、吾輩が始めたものなのだよ、ビテオゲームの医療分野への応用は、ヨシッ。
謎の中高年、Dr.木浪は事務長を指差しながら下品に戯けてみせた、もうビックリしたなあと。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・音々 ねね
純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。
・花崎 誇 はなさき ほこる
医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。
・夢原 省吾 ゆめはら しょうご
伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。
・花崎蘭子 はなさき らんこ
花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。
・蛭田恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。
・日乃本尊 ひのもと たける
純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ
青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。
・ム〜ド む〜ど
夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。
・mako まこ
ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。
・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき
医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。
・事務長 じむちょう
医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、
・ルンペンのオッチャン
自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。
・ロードバトラー2
人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。




