第2ターン 俺っち、目が覚めた
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語
「純、本当に良かった!姉ちゃんは信じてた、純はきっと目を覚ますって、、」
純の姉、音々(ねね)は涙ながらに弟、純の回復を喜んだ。その側には心から申し訳なさそうにするクー子がいる。
純はトラックにはねられ、生死を境を彷徨ったのだが、奇跡的に復活したのだ。
「純、お姉さん、本当にゴメンなさい!私がプロゲーマーなんてつまらない話をしたから、純が」
「違う!クー子のせいじゃない。信号無視した俺っちが不注意だったんだ、、」
と、純はクー子の言葉をさえぎった。そして続けた。
「姉ちゃん、ゴメンよ。ウチは貧乏なのに入院なんかしちまって、、」
純が謝ると音々は殊更に明るく純をたしなめた。
「純はね、お金のことなんて心配しなくていいの。日本には諸外国の要人も羨む国民皆保険という世界に冠たる社会保障制度があるの。高額療養費の仕組みもあるわ、あなたは体を治すことだけに集中しなさい。」
「何だか分からないけど、姉ちゃんは博識だなぁ〜タマゲた!」
純のおどけた発言に音々は吹き出し、しょんぼりしていたクー子もようやく笑った。
つづく