表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
195/214

第195ターン 俺っち、悪の試合巧者にハメられる

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

 初見だった相手の特殊技を一瞬の判断で防御してみせた純。この即興性にワワッと会場のボルテージが加速する。


「グレイト!防御と立ち回り、基本トレーニングの反復が実ったカタチですね!」


 興奮気味に解説する花崎を横目に、コーチmakoは引き続き対戦に集中する。果たして神獣倶楽部の青木はこれで終わる男なのか。


 苦し紛れのバックステップで距離を取り直す青木・カトー。純・リョウは飛び道具の気流拳を繰り出しプレッシャーをかける。


「クッ、ヤリますねぇ日乃本純。やはり格ゲーマーの始祖、タケルの息子、、」


 奥の手が封じられたせいか、驕慢を絵に書いたような青木が弱気を見せる。気流拳をガードで耐えながらも次なる技のチョイスには迷っているのか、プレイが消極的に映る。


「ヘイヘイッ純!一気に珍獣倶楽部をやっつけちゃうノダ!」


 ゴーゴーを踊るかのような、クー子のゴッキゲンな声援も飛び出して、いよいよ純の勝利が見えてきたようにも思える。関帝廟のブースター達も純・リョウの快勝を待ち望んでいる。


 おうよ、一気にカタをつけてやる!そう純は叫びリョウが前ステップでカトーとの距離を詰めると、選択肢が無くなった青木はまたぞろワープ技に固執する。


 サイキック・ワープ、てまたかよ。。それはガードが出来るんだって。純はもう一度カトーのワープ先に方向キーを入れて巧みに背後からの攻撃に備える。


「ハマりましたねぇ!単細胞クン!!」


 ヒャヒャヒャ!不快指数200%男、青木がヨダレを垂らさんばかりの顔に豹変する。気弱な発言はブラフだったのか?


「マズいッ!あえて誘ってからの投技狙い也か!」


 戦略眼には定評のある蛭田が青木のタクティクスを喝破したが、時既に遅し。


 青木・カトーが防御で身構えるリョウを片手で掴み上げ、反対方向に投げつけるとリョウの体力ゲージがグッと減り、残り30%くらいになってしまった。


「クククッ、これでまたこちらが有利になりましたねぇ。さぁ、ユックリいきましょうかぁ!」


 青木・カトーの巧みなゲームプランでまたしても劣勢となった純。対戦残り時間は約30秒程。時間切れをほのめかし、純の焦りを誘発する試合巧者の青木。流石は神獣倶楽部の最終兵器だ。


 攻めなくては敗北する絶対絶命のピンチの中で、敵にコンボ技を仕込むことができるのか、「間合い」を巡る純の旅は未だ終わらない。


つづく 

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・日乃本尊 ひのもと たける

純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ

青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。


・ム〜ド む〜ど

夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。


・mako まこ

ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、


・ルンペンのオッチャン

 自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ