第190ターン 舌戦は金曜日
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。
運命の第三ラウンド、その前に純が神獣倶楽部を問い質す。
「オメェら、俺っちが青木を倒してチーム夢原が勝ったら、日乃本タケル、俺っちのオヤジの話を聞かせてくれんだな?」
それが神獣倶楽部戦の約束だった。一度は投げ出した純の自分探し、格ゲーマーの始祖と呼ばれる父、タケルの実相を知りたい。そして己にとって格ゲーが何たるか、確認したい。
17歳の半人前格ゲーマーは旅に出た。自分と自分より強いヤツを探す旅に。
「クククッ、愚カブ。我ら神獣倶楽部が負けること等無いんですよ、意味のない質問ダヨ。」
と、此の期に及んでも不快感を撒き散らす神獣倶楽部の首魁、青木龍一郎。こうも人を小馬鹿にする輩も珍しい。ある意味、病ではないかと見紛うくらいだ。
「ふざけんじゃないヨ、このチェリーボーイ!未経験者は約束一つ守れないのかい!?」
親友の純の為なら火の中水の中、下町の太陽クー子が間髪入れず怒声をあげる。すると例の彼女が黙っていない。
「もう、煩い債務者の娘だこと!神獣倶楽部はアンタの母親みたいに逃げたりしませんワ、ア〜ハッハッハッ!」
と、今度は悪口製造マシン、花崎蘭子が余計なハナシを蒸し返しながら逆ギレする。反射的に罵詈雑言を生むこの才能を、何か別に活かすことは出来ないものか。
「言ったな蘭子、神獣倶楽部。プロミスだぞ、これはコントラクトだ。」
流暢な?イングリッシュでチーム夢原のカピタン花崎が念押しをして、更に続ける。
「そして、格ゲー・リハビリの陰謀、ユー達は何か知ってるはずだ。このマター、事務長だけの仕業ではないだろう。テルミー!」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・音々 ねね
純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。
・花崎 誇 はなさき ほこる
医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。
・夢原 省吾 ゆめはら しょうご
伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。
・花崎蘭子 はなさき らんこ
花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。
・蛭田恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。
・日乃本尊 ひのもと たける
純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ
青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。
・ム〜ド む〜ど
夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。
・mako まこ
ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。
・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき
医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。
・事務長 じむちょう
医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、
・ルンペンのオッチャン
自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。別名、酒場のカール・マルクス。
・ロードバトラー2
人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。




