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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
189/214

第189ターン 画面端、それは格ゲーの無間地獄

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

「画面端の雪隠詰せっちんずめめをなんとかアバレで抜け出した、そんな案配か。」


 ニタリとしてルンペンのオッチャンが独りごちる。格ゲーにも造詣があるのか、それらしい評論が板に付いている。


 関帝廟はすっかりチーム夢原のホームスタジアムと化しおり、観衆達は純の辛勝に胸をなで下ろし、会場には安堵のどよめきが響く。


「もし、相手の青木がもうワンランク、ツーランク上の格ゲーマーなら、確実に純坊は仕留められていたね。」


 ホッした表情でmakoに目配せするム〜ド。たしかに青木がコンボにこだわったから、かえって技の継ぎ目に隙が出来た、makoも振り返る。


 その黒目がちな目元は微笑んでいるが、ぽってりとした唇は微かに引きつっている。純が首の皮一枚で勝利したことがうかがえる。


「つまり、もし相手がひたすら小パンチ小キックをこすっていたならば、、、」


 チーム夢原の文學青年、蛭田の問いに今度は純の姉、ねね々が静かに答えた。


「終わっていたわ。」


 もちろん、上下、中段と打ち分けて純のガードを崩す必要はあるけど、ジックリ来られたら純坊に逃げ場は無かった、makoが補足する。


 画面端、それは格ゲーの無間地獄。


 唄うような女コーチの言葉はレフェリー、ピカピカ先生の絶叫にかき消される。いよいよ第三ラウンドが始まる。両者スタンバイッ!


「チョイ待ち!!」


 そこに純がストップをかける。


「オイッ、珍獣倶楽部!オメェらに確かめて置きたいことがあるッ!」


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・日乃本尊 ひのもと たける

純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ

青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。


・ム〜ド む〜ど

夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。


・mako まこ

ム〜ド同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、


・ルンペンのオッチャン

 自らを自由なる人と呼ぶ初老の男。makoの知人らしい。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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