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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
169/214

第169ターン 俺っち、会場を去る

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

「何だか面白いことになってますねぇ〜あっと言う間にチームはバラバラ。あの夢原が作った格ゲー王国も砂上の楼閣だった、ってことですかねぇ、イヒヒ。」


 そう嫌味タップリに純を口撃すると、サッサとコントローラー握れや!と第2ラウンドを急かす不快指数200%男、青木龍一郎。


 が、今や猜疑心のかたまりと化してしまった日乃本純と誤解を解くことが出来ない花崎誇。チーム夢原の最強タッグには亀裂が生じ、もはや修復困難な状況に陥ってしまっている。


「フッ、、もうバカバカしくなってきたぜ、、」


 純はそう言うとコントローラーを置き、自分で車椅子を動かして対戦ブースから離れていく。


「純!どうしたノダ?ま、まさか棄権するんじゃないよね??」


 思わずクー子が止めようとするが、純は車椅子のハンドリムを押して会場に背を向け進んで行く。


「ちょっと純、待ちなさい、落ち着きなさい!」


 姉のねね々も純をたしなめるが純には届かない。


「姉ちゃん。コイツら、皆で俺っちをハメてたんだ。チームとか仲間とかデタラメだ。ただ俺っちを実験台にしてたんだよ。」


 姉ちゃんの言うとおり格ゲーなんかに近づくんじゃなかったよ、純はそう言うと寂しそうに笑った。


「フンッ、だらしない。格ゲーおバカ、敵前逃亡ですか、ア〜ハッハッハッ。」


 自分の暴露が余りにも深刻な状況を生んでしまったことに呵責があるのか、花崎蘭子の口撃に冴えがない。関帝廟の観衆はさっきからの抜き差しならない展開に沈黙せざるを得ず、蘭子の哄笑だけが虚しく響く。


 チラッと蘭子に一瞥をくれる純。そして何も言わずに出口へと車椅子を進めて行く。


 もう終わりだ、花崎が何も言えずにただその後ろ姿を見送った時、以外な人物が声をあげた。


「待つ也。」


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・日乃本尊 ひのもと たける

純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ

青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。


・ムード むーど

夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。


・mako まこ

むーど同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

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