表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
16/214

第16ターン 俺っち、コマンド技を繰り出す

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 花崎が操る空手家ゲンの飛び道具「気流拳」を初めてかわした純のキャラ、リョウ。しかし着地した所を次の気流拳がヒットし、敢え無く敗北。


 格ゲー、バト2は3本勝負で2本取ったプレイヤーが勝利する。残念ながら一本目は花崎が先取した。


 花崎は片手を突き上げ、やったぜぇと雄叫びを上げる。ちょうど、画面の中のゲンの勝利ポーズと同じだ。この挑発にクー子が黙っていられない。


 「あんた、狡い!バト2のマニュアル貸してくれなかったから、そんな技とか高度な事、何も練習できなかったじゃない!」


 「レディース、それはユー達の研究不足ってもんじゃあないですか?言ってくれればいつで貸しますよ。え、マニュアル夫人(笑)。」


 と、クー子をあしらいながら、花崎は純との2戦目に雪崩れ込む。レディ、ファイ!


 垂直ジャンプを覚えた純は持ち前の反射神経で、花崎ゲンの気流拳をかわし続ける。花崎は気流拳の練度が低いのか、どうも空振りもあるようで時々、気流拳が襲ってこない。


 その不安定な気流拳をかわしながら、純の操るリョウは攻撃のチャンスを探し、ピョンピョンとひたすら垂直に跳ねる。かなり滑稽な見映えだ。


 「ど、どうすれば近づける、、」


 被弾回避に終始し、攻撃の糸口が見いだせない純リョウ。もし垂直で無く、斜めに飛べば近づけるのか?


 これは博打だ、純が勇気を奮って右斜めに方向キーを入れると、気流拳をかわしながら見事に純リョウは敵に近かづいた。


 やった!と、純が喜んだ刹那、ヒリューケーン!新たなセリフがサラウンドで響く。


 「見たか、必殺の飛竜拳!」


 花崎が嬉しそうに叫ぶ。半回転ジャンプしながらアッパーカットを繰り出す技を飛竜拳と呼ぶようだ。


 この一撃に純リョウのダメージは深く、三分の一くらいの体力を失った。クソッ、純はそれでも花崎ゲンに近づかんと斜めジャンプを繰り返す。


 すると、判で押したように飛竜拳の餌食になる。これを2度3度とやっているうちに、純リョウの体力の大半を削られた。純、絶体絶命。


 八方塞がりの純は、ヤケクソになって方向キーを無茶苦茶に入れながら(✕)ボタンを押し続けたところ、純リョウがコマのように回転しながら前進するではないか!


 「烈風脚!ユー、どうやってコマンド技を!?」


 花崎が明らかに狼狽している。きっと彼はその技を未だ出来ないのだろう。


 純リョウは回転を利用したキックを数発花崎ゲンにぶちかましたが反撃もそこまで。最後は焦った花崎の姑息な小キック連発に削られてしまった。


 再びガッツポーズの花崎、クー子は悔しさに口を尖らせたが、純はコントローラーを握りうつむいて動かない。


 「、、、ナンダヨ、簡単じゃねえか。」


 「格ゲー、コマンド技を覚えれば簡単に勝てるんじゃねえのか!」


 ま、マズい。気づかれたか!花崎が息を呑む。


 「やってやろうじゃねえか、リハビリでゲーム。覚えてやるぜ、コマンド技!」


 「いいか、花崎!3日後、3日後だ!もう一度、俺っちと闘え!」


 病室は熱狂のろ壺と化した。


つづく 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ