第159ターン 再降臨!麗しき人格破綻者、花崎蘭子
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。
神獣倶楽部第三の刺客、留学生の朱さんの正体は、なんと花崎の妹、あの蘭子だった。瓶底メガネの留学生が見目麗しいJKに一変し、会場の関帝廟にどよめきが起こる。
あ然として攻撃を止めるクー子。事情が飲み込めないmakoら新任コーチ達。そして、蘭子の親衛隊長だった蛭田も目を丸くして驚きを隠せない。キャント・アンダースタンド、、、兄の花崎も複雑な表情で沈黙する。
「オイッ、ランラン!なんでお前が神獣倶楽部の一員なんだヨ!」
生粋の脊椎反射系、チーム夢原のエース純が鋭く指弾する。ケンカ番長の頼もしい即応性だ。
「フンッ、だまらっしゃい!格ゲーお馬鹿。この者たち神獣倶楽部がアタクシの手下なのでゴザイマスワ!」
何だとぉ〜黒木香みたいなお嬢言葉使いやがって、フザケンナ、説明しろ!と、純が言い掛かりも含めて蘭子を追撃する。
「こらッワキ毛!コイツら神獣とアンタの関係はどうなってんのサ!」
冷静さを取り戻したクー子も蘭子に答弁しろとまくし立てる。二人の性格はいわば水と油、下町の太陽とブルジョアの娘は互いに鼻に付く存在なのだ。
「静かになさい、債務者の娘!貴方に説明する法的義務がありまして?ア〜ハッハッハッ!」
得意のレトリック?でスカしてみせた花崎蘭子。他人を小馬鹿にする技能は名人芸の域に達してる。対戦では劣勢だった蘭子が雑言合戦で息を吹き返したようだ。
「債務者の娘、とにかく格ゲーで決着をつけましょうよ!かかってらっしゃい!」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・音々 ねね
純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。ゲーマーだった父の死を悔み、純をゲームから遠ざけてきた。
・花崎 誇 はなさき ほこる
医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。
・夢原 省吾 ゆめはら しょうご
伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。かつて純と音々の父、日乃本尊に格ゲーと人生を学んだ。
・花崎蘭子 はなさき らんこ
花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。
・蛭田恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。
・日乃本尊 ひのもと たける
純と音々の父にして、夢原の師匠。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・神獣倶楽部 しんじゅう くらぶ
青木、白井、玄田の格ゲー三人組。日乃本尊の実相を知るとされる。
・ムード むーど
夢原が自分の代わりに純らのもとに送りこんだ新コーチ。ちょっとエッチでお尻が好き。
・mako まこ
むーど同様、夢原の仲間で純らの新コーチ。大阪からやって来た理系女子。
・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき
医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。
・事務長 じむちょう
医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。どうも怪しい動きを、、、
・ロードバトラー2
人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。