第14ターン 俺っち、花崎と対戦する
不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語
そらから純の格ゲー練習の日々が始まった。
指の麻痺は未だ残るものの、繰り返しプレイする度に少しづつではあるが純の腕前は上がっていった。
主治医のケーシー花崎が定期的に純の病室にやってきた。純の指や身体全般の状態を確認してゲームプレイによるリハビリの効果について、記録を取っているようだ。
毎日のように見舞いにやってくるクー子がゲーム練習にも色々と世話を焼いてくれた。コンピューターの対戦相手の強さを変えることができたのも、クー子の発見による。
姉の音々は時折夢中になる二人を諭しながら、そんな様子を静かに見守っていた。
一週間が経ち、いよいよ花崎との勝負の日がやってきた。対戦場所は純の病室。音々、クー子、そしてケーシー花崎と花崎家の執事が観戦に訪れた。
「日乃本クン、ちゃんと練習してきた?いくらド素人だかって容赦しないよ!ゲームに失礼だからね。」
と、気取った口上を垂れて花崎がプレステ3に電源を入れる。誰かを意識しているのか、いい事言った感のある表情を浮かべて咳払いをする。
音々とクー子は、もっともらしく聞こえるが、実はあまり意味の無い花崎のセリフを聞流し、純、ガンバレと声援を送る。
任せとけ!威勢よく純は返し、プレイヤーキャラに空手家リョウを選ぶ。花崎は同じく空手家のゲンを選んだ。
真似すんな、真似ジャねえよ、そんなつばぜり合いを交わしながら、純と花崎のロードバトラー2、バト2のゴングがなった。
つづく