表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
105/214

第105ターン ノーガード、俺っち達の格ゲー賛歌

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー小説。

 いよいよ終盤戦、時間も残すところあと30秒。純があやつるリョウと蛭田のゲイルの残り体力はほぼ同じ20%ぐらいだ。


 お互いが相手の攻撃を警戒して動けない状況、飛び道具を散らして隙を窺うが中々踏み込めない。


 固唾を飲んで対戦を見守る観衆達。あれだけ格ゲーをバカにしていた花崎蘭子も真剣な顔つきでディレクターチェアから身を乗り出してメガホンを握りしめている。


 もう、逃げない、攻めて勝つ。そう決心した蛭田。純・リョウの気流拳をかわしながらゲイルを少しずつ前進させる。


 そのアクションに純もまた攻めて勝つと心に決める。が、さっきと同じテでは、蛭田に読まれる。烈風脚で近づくまではいいがその後が攻防が勝負を決する。どうすればいい??


 純、逃げんといて。クー子が祈る。日乃本クン、ユーに任せた。己の運命を良きライバルに委ねた花崎。そして夢原。


 この闘いは、もはや勝ち負けを競うものではない、格ゲー界のビッグシンカーは思う。二人の若者が自分自身を超える為のイニシエーションなのだと。


 何故闘う?何故勝ちたい?勝ってどうする?ビデオゲームに負けて何を失う?そんな懊悩や葛藤に苛まれながらも、若き格ゲーマー達は人間として成長していく。そんな純達の側にいてやりたかったが。。


「クッ、夢サン!俺っちはどうすれば?!」


 訴えるように横目で目配せした純を黙って見守る、マスター夢原。もう指示は出さない。純自身が自分で何をすべきか分かっているはずだ。


「。。そうか、夢サン、わかったゼ!俺っち、蛭田をリスペクトするぜ!」


 グッ、前に出てくる蛭田・ゲイル。これに引かずに前に出る純・リョウ。お互いにやるな、とエールを交換する二人。


「行くぜ、ニヒル!」

「おう、格バカ!」


 両者は息を合わせたように互いの必死技をぶつけ合う。


「ムーンサルトキィィック!!」

「飛龍拳!!」


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。元は少林寺拳法に汗を流す高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリ中。バト2では日本人空手家リョウを使う。一人称は俺っち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。


・音々 ねね

 純の姉。両親を早く亡くした純の母親代わり。苦学して一家を支える博識。何か秘密を抱えているようだ。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 医療法人花崎会の跡取り。純のライバルで格ゲー仲間。アメリカンな空手家ゲンを使う。一人称はミー。


・夢原 省吾 ゆめはら しょうご

 伝説のプロゲーマー。落ちぶれ飲んだくれに。純と花崎の指導者としてゲーム界に復帰。音々とは因縁が、、


・花崎蘭子 はなさき らんこ

 花崎の妹。兄を侮る高慢な女子高生。自分こそが花崎家の跡取りに相応しいと思っているようだ。一人称はアタクシ。


・蛭田恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。今はニヒリストを気取り文学と格ゲーに耽る。一人称は小生。


・Drケーシー花崎 ドクターケーシーはなさき

 医療法人花崎会の理事長にして、花崎兄妹の父。純に格ゲーによるリハビリを指導中。


・事務長 じむちょう

 医療法人花崎会の事務方トップにして、花崎家の執事。


・ロードバトラー2

 人気の格闘ゲーム。略称バトツー。リョウ、ゲン、ダル・シン、ハシミコフ、チャンリー、ゲイルなど多彩な格闘家が集う。某有名格闘ゲームとは無関係。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ