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熱血!格ゲーマー純  作者: 行者BUSYOU
10/214

第10ターン 俺っち、リハビリでゲームをする

不慮の事故から身体の自由を失った高校生、日乃本純は格闘ゲームのプロを目指して立ち上がる。涙と感動の格ゲー根性物語。

 「ゲ、ゲームでリハビリしたら治療費は無料(タダ)なんだな。」


 純がケーシー*に確認した。


[註]ケーシーは医師が着る衣服、作業着。理学療法士もその運動性から好んで着用。ここでは花崎の父親を指す。


 「エグザクトリィ。このDr花崎パパに二言はありませんよ。」


 「ダメ!純、お金は心配しなくていいから!純はコントローラーなんて握っちゃダメ!」


 姉の音々(ねね)が猛然と反発する。治療費の為、何故ダメなのかと純が姉に問う。


 そんなやり取りを思惑ありげに眺めていた花崎が割り込んだ。


 「レディース、いや、お姉様。悪い話じゃないと思いますよ。楽しくゲームで治療を進めるンだから。」


そして、ニヤリ。


 「何か、ゲームに悪い思い出でも?」


 刹那、クー子は美しい音々のゾッとするほど凄んだ表情を見逃さなかった。


 「これは家族の問題です。」


 穏やかに毅然と音々は花崎に返した。ブルジョアの鼻っ柱をワーキングクラスがへし折ったカタチだ。花崎は反論出来ない。


 するとクー子が、お姉さん、私も悪くない話と思いますよ、お試しだけでもやって見ればと勧めてきた。


 クー子は純と過ごした学童時代を思い出していた。他の子ども達は皆、何かしらのゲーム機を持っていて、実際、クー子の家にもセガサターンがあった。


 純とてゲームには興味があっただろう。ただ、幼い頃に両親を亡くした純の暮らしの中には、娯楽にお金をかけるプチブル趣味が入り込む余地なぞ無かった。


 携帯型のゲーム機で楽しむ同級生達を横目に、校庭を走り回ったり、ボール遊びをしたりして純は放課後を過ごしていた。


 純がゲームを楽しむ、そんな機会があってもいい、クー子はそう思ったのだ。


つづく

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