星降る夜にあなたと一緒に
むかし、むかしのはなし。
あるところに王子様とお姫様が居ました。王子様とお姫様は小さいころから仲が良く、
将来は結婚する約束をしていました。
しかし、2人が成長するにつれ、お姫様はいつもイライラするようになりました。
学校に入学した頃から王子様はお姫様と一緒に居る時間が減っていったのです。
王子様は学生でありながら、国の仕事もしなければなりませんでした。
それが、王族に生まれたものの義務だったからです。
しかし、王子様は忙しい合間をぬって、お姫様以外の女の子と話す時間が増えていきました。
王子様は、小さいころから、お姫様以外の女の子と話す機会がなかったのですが、
学園に来て、たくさんの女の子と話すようになり、お姫様以外の女の子と話す時間が
楽しみになっていっていたのです。
お姫様は、そんな王子様に注意しますが、王子様は聞き入れません。
それどころか、お姫様のことを心の狭い女だと罵倒するようになります。
王子様に聞き入れてもらえないお姫様は、王子様に近づく、女の子たちに
攻撃的になりました。
水をかけたり、足をかけてころばせたり。悪口を言ったり。
しかし、王子様はお姫様のほうを向いてくれません。
それどころか、王子様はかえって、他の女の子たちと居る時間を増やす一方でした。
お姫様は、王妃教育という、それはそれはとても大変な勉強をして頑張っているのに、
報われない状況にとても悲しんでいました。
そして、運命の日が訪れます。
国王様の誕生日会で、王子様は言います。
お前との結婚は止めると。
お姫様は愕然とします。
王子様はお姫様のやってきた悪事を声高々に言いました。
王子様と仲の良い女の子たちに、ナイフを刺したり、家に火を付けたり、
ゴロツキを雇って乱暴しようとしたり。
お姫様には身に覚えのないことばかりでした。
しかし、次々に、その現場を見たと叫ぶ者が現れます。
乱暴されそうになったという女の子は、国王様が信頼する大臣の娘だったため、
国王様は、たいそう怒り、その場で、お姫様を牢屋に入れるよう命令しました。
牢屋に連れていかれたお姫様は泣き続けました。
自分はそんなことをしていないのに。
お姫様が行ったとされた罪は重いものばかりでしたが、お姫様を死刑にすることは
できず、そのまま牢屋に入れ続けられることになりました。
お姫様は、牢屋の中で、毎日泣くだけの生活が続くことになりました。
そして、お姫様は牢屋の中で、王子様が王様になることを知りました。
結婚するのは、乱暴されそうになったいった女のことでした。
お姫様はとてもとても悲しみました。
私はなにもしていないのに。
そう思うと、とても苦しくなりました。
そして、その日から、王様となった王子様のことを呪うようになりました。
私をこんな目にした王様を許せない。
毎日毎日呪いました。
でも、何も起こりません。
お姫様は深い深い悲しみの中、思いました。王様だけじゃない。
みんな居なくなってしまえばいいのに。
小さな窓から見える星にお姫様はそっと願いました。
そうして、お姫様は、ついに牢屋から出ることなく、死んでしまいました。
かわいそうに思った神様は、お姫様をお星さまにしました。
せめて、かがやく星でいることで、その悲しみを和らげてあげようと思ったのです。
お姫様は、さらに絶望しました。もっと城から遠くなり、王様は私のことすらも
忘れてしまう。
星になったお姫様は、城に戻りたい。そう毎日泣いていました。
悲しいお姫様を少しでも助けてあげたかった神様は
そうか、城に返してあげよう。
その夜、城に星が落ちました。
ゴゴゴゴゴ
星が落ちてくる音にお城の人たちはみな驚きます。
そして、星はあっという間に、城を叩き潰し、城に居た人たちをみんな
ぺっちゃんこにしてしまいました。
これで、やっと一緒に居られるよ。王子様。城と一緒に崩れる星はそう思いながら
その形を崩していくのでした。