惚れっぽいけど誠実すぎて、「運命の相手」に振られまくりの婚約者が、今日も私に泣きついてきました
お馬鹿で浮気者な王子と、その婚約者の伯爵令嬢。
そんなテンプレな構図から、どこまでテンプレと違う代物を書けるか挑戦してみました。
「私、決めた! 将来は絶対に冒険者になる!」
と、子供向けの作り話の中でも、恋愛ものではなく冒険話に傾倒していたために、伯爵令嬢にあるまじき宣言を高らかに行った幼い私。
その頃には、年頃を迎えて王子様の婚約者となる未来は勿論、その王子様がよりにもよって浮気を繰り返すような男性であることなど、欠片さえ想像していなかった……
「ああ、今回もまた振られてしまったよ……今度こそ本当の『運命の相手』だと思っていたのに……!」
「はあ、左様ですか」
「冷たい! いつにも増してフィオナが冷たい! 仕方ないけど、当然だとは思ってるけど!」
「そう言われましてもねえ……」
普通に考えて、「運命の相手」とやらの恋に破れたことを、わざわざ婚約者に愚痴りに来ることがまずどうかと思う。冷たい対応をされたくないのなら、まず人選からして盛大なミスとしか言いようがない。
……それともやっぱり私がこんな風だから、彼は懲りずにずっと「運命の相手」を探し続けているのかしら。と、ちょっぴり悩む。
そこのところはさておくとしても、そもそもこの男セイン・リーデック第四王子は、容姿や能力や身分血筋といった点ではとにかく高いスペックを有しているのに、こと恋愛においてはあまりにも不器用と言うか純粋な性格をしているので、「運命の相手」とやらを見初めて交際を開始し、仲を深めていざプロポーズをすればあっさりと振られる、実に不毛なループを繰り返しているのだった。
なお私との婚約については、私の方からはいつでも破棄してもらって構わないと王家から許可を得ている。……三年前、婚約したての十五歳の時に初めて「運命の相手」騒動が起きた時点では、流石の私も頭に来て即座に破棄してやろうかとも思ったけれど、「あれはセインの一時的な病気だから! 相手の令嬢にはすぐに振られて、フィオナ嬢のところに帰ってくるから、少しだけ耐えていてくれ!」と、よりによって陛下と王妃様、それに王太子殿下の揃い踏みで頭を下げてこられるものだから、しぶしぶ拳を下ろさざるを得なかった。
そして実際、今に至るまでお三方の仰る通りになっているのだけれど……
「私、常々思うのですけれども。セイン様はそもそも、プロポーズのお言葉がよろしくないのでは? そこのところさえ方便をお使いになれば、『運命のお相手』であるご令嬢は喜んでセイン様と結婚してくださるはずですのに」
「いくら方便でも、『運命の相手』に嘘はいけないだろう。私が第四王子なのは変えることは出来ない事実なのだし、結婚後に賜る領地は敵国と接する軍事的脅威の塊のような辺境の地で、王都には数年に一度くらいしか戻れなくなる。いわゆる『王子妃』という言葉から連想される、華やかで贅沢な暮らしとは縁遠い生活になることも、きちんと説明しなくては不誠実じゃないか」
綺麗すぎるお顔に真剣極まる色を浮かべて、真面目にそんなことを言うセイン様。
うん。言い分としてはもっともだとは思う。
でも、セイン様が見初める「運命の相手」は決まって、抱き締めれば折れてしまいそうなほど可憐で儚げで、かつ非常に健気そうな雰囲気の令嬢なのだ。まあ実際に健気な人もいたかもしれないけれど、少なくとも「キラキラ目映い容姿と優しい性格を併せ持つ理想の王子様」と、「実は敵国との最前線となり得る領地を治めるべく育てられた、見た目に似合わぬ武闘派王子」というギャップには耐えられなかったらしい。
王妃様によれば、「そこのギャップもだけれど、何より結婚後の暮らしのギャップに野望、もとい夢を壊された娘たちばかりだから、フィオナはどちらにも同情する必要はないのよ」だそうだが。
「……セイン様。不誠実というお話ならそれ以前に、まず私との婚約を解消なさってから、『運命のお相手』を口説かれるべきでは?」
「ああ、君にはいつもすまないことをしていると分かっているんだよ、フィオナ。……でも、『こちらからの婚約解消だけは絶対にしてくれるな! フィオナ嬢の評判にとどめを刺す暴挙に出るくらいなら、まず腹を割って彼女と徹底的に話し合え!』と、父上と母上が激怒なさるものだから……」
「はあ……」
地味に八方ふさがりなのかしら、私。
現実問題、あらゆる意味で私よりも辺境伯夫人に相応しい令嬢は国内に存在しない以上、陛下や殿下方が私を手放したくない気持ちは理解できるし、セイン様もそこは承知しているはずだ。
個人的意見を言わせてもらえば、別にセイン様に対しては恋愛感情はなく、あるのは幼馴染みや友人としての親しみだ。そういうわけで、婚約解消ならそれもよし──その気になれば、騎士でも冒険者でも宮廷魔術師でも、選び放題の実力はあるから──、継続して結婚に至るのならそれはそれで別に、という感じだ。敵国の脅威だけでなく魔獣や幻獣が数多く住まう辺境の地なら、良くも悪くも絶対に退屈はしないだろうし。
とは言え、私の両親やお兄様たちには大いに異論があるらしい。
正確には、お母様が「我が家の可愛い妖精フィオナに何たる扱いを!!」と激怒していて、お父様とお兄様たちはそれを必死になだめつつ、何故かセイン様を意味深かつ生ぬるい目で眺めている。
……ええ、お母様に妖精などと言われている通り、実は私も容姿の面では、セイン様の「運命の相手」と同じタイプだったりするのだ。十二歳で社交界デビューしてから六年、すっかり「妖精姫」の二つ名が世間様にも定着してしまっていて、恥ずかしいことこの上ない。
そのせいなのか何なのか、最近になって、女好きと名高い第三王子に「お前がセインの妖精か」と、それはもう楽しげにつぶやかれて目をつけられてしまうし。「あの局地的大馬鹿な弟はさっさと捨てて、俺に乗り換えないか?」なんて、ろくでもない冗談まで言われる始末。
「本気で私を口説くおつもりなら、両腕にぶら下げておいでの妖艶なお姉様方を振り落としてからいらしてくださいませ」と返したら、何がツボに嵌まったのか涙が出るほど大笑いされた。解せぬ。
幸い、珍しくも機嫌を損ねた様子のセイン様がすぐに私を回収しに来てくれたので、その日はそれ以上絡まれることはなかったものの、それからも第三王子は、夜会で顔を合わせるたびに何かとちょっかいをかけてくるようになった。セイン様をからかうのが主目的なのだろうが、私をその材料にしないでいただきたいと切に思う。
お陰で、第三王子が出席する夜会では、セイン様が私に始終べったりと張り付くようになってしまった。兄殿下は変わらず複数の女性を入れ替わり立ち替わり引き連れているのだから、何も問題はないと言っても効果はない。そして「運命(略)」がその場にいても、そっちのけでほったらかし。……それでいいんですかセイン様。
あえて指摘はしないけれど、彼が今回の「(略)」に振られた理由は、そこのところもかなり大きかったと思う。
「セイン様。このまま『運命のお相手』に振られ続きですと、必然的にセイン様は私と結婚することになりますわよね。予定されている婚儀の日程まで、あと半年を切っていますけれど」
「ああ。……だから、早く『運命の相手』を見つけて、フィオナを解放してあげないと……」
「解放だなんて大げさな。別に私は、このまま辺境伯夫人になるのも悪くないと思っておりますわよ?」
紛れもない本音だったのに、セイン様に目をぱちくりされてしまった。そんな隙だらけの表情でも様になるのだから、美形は得である。
「……そうなのかい? でも君は昔、あんなにもはっきりと、『将来は絶対に冒険者になる!』って言っていたのに」
あら、覚えていらしたのね。恥ずかしい。
「まあ、子供の頃はわりと本気でそう思っていたのは間違いありませんけれども。実のところ、セイン様との婚約がご破算になれば、かなり現実的な選択肢になるとも考えていましたし」
「ああ、うん……そうだね」
「ですが、セイン様の妻という立場よりも優先しようと思うほどには、冒険者になる未来に執着はしていませんわ」
「……そ、そうなんだ……」
やけに力ない声ながら、表情は酷い驚愕と困惑が混在している。
そして直後、広い肩と艶やかな金髪が煌めく頭が、見事なほどがっくりと落ちてしまった。
……うん。ここまで来れば、ここ数年の「(略)」騒動の理由と言うか動機が、何となく掴めてきた。私の自意識過剰でなければ、ほぼ間違いないだろう。気遣いがあまりにも明後日すぎて、十周ほど回った挙げ句に錐もみ回転をしているようなものだから、最早呆れ返るのも馬鹿らしくなってしまったが。
(……第三王子殿下の仰っていた『局地的大馬鹿』って、このことだったのね)
流石はすぐ上の兄君と言うべきか、的確すぎる表現で笑うしかない。
……全く、他のことなら兄君方に勝るとも劣らない有能ぶりを遺憾なく発揮するくせに、何故恋愛面になるとこうも残念でポンコツになるのかしら、私の婚約者様は。
(うーん……とは言え、理解したからと言って簡単に許してしまうのも、ねえ?)
素直に正面から聞いてしまえば丸く収まるのだろうけれど、三年に渡って何だかんだと振り回された身としては、少しばかり仕返しをしても許されるはずだ。「いっそ十倍にして返してさしあげなさい!」と、お母様からのテレパシーが伝わってくるけれど、幻聴ということにしておく。
「そうなのです。……でも、セイン様は私と婚約したての頃から『運命のお相手』を探していらっしゃいましたから、よほど私にご不満がおありなのですよね?」
「それは違う! 誤解だ! フィオナや婚約そのものに不満ということじゃなくて……! ただ、その……生涯に渡って私と辺境に縛り付けられるような境遇よりも、フィオナが心から望む未来を叶えてあげたくて……だから…………」
がばっ! と顔を上げての最初の勢いはどこへやら、紡がれる言葉はとても分かりやすく先細りになり、顔と肩は先ほどまでの位置にじわじわと下がっていってしまう。
言い訳にもならないと彼なりに自覚してはいるのだろうが、まだまだ気が済まない私は、そこに容赦なく追撃を加えた。
「的を外しすぎたばかりか、勢い余って私とご自分の後頭部を立て続けに射抜いたようなものですけれどね」
「……す、すまない……! 君に一言の確認もせずに、ただ思い込みのまま突っ走ってしまって……!」
全くである。
……ただ、「私という正式な婚約者がいながら、何故『運命のお相手』などというものを探そうとするのか」という疑問を、初期段階でぶつけることすらしようとしなかったこちらにも、責任の一端はあると思う。
セイン様は誠実な御方だということは、長年の付き合いでよく知っているのだから、はっきり尋ねさえすればきちんと答えてくれると、私は分かっていたはずなのに──
「……セイン様も私も、お互いにどんな答えが返ってくるのか、確かめるのが怖かったのかもしれませんわね」
「……フィオナも?」
「はい。恋していない相手とは言え、普通以上の好意はある御方に、その好意を正面からきっぱり否定されるのは辛いものですもの」
「そんなこと。私がフィオナからの好意を、どんなものであれ否定するなんて、未来永劫ありえないよ?」
「……まあ……」
ごく当然の、不変の真理のように断言されてしまい、不覚にも胸がきゅんとときめいてしまった。
「本音を言えば、そりゃあ初恋の相手で最愛の婚約者には、同じ気持ちを返してほしいとは思うけどね。これまでの自分の行いからすると、虫が良すぎるどころじゃない話なのは分かっているから」
「もう……セイン様は、強欲なのか無欲なのか分かりませんわね」
「それは強欲に決まっているよ。これまで『運命の相手』などと称して、罪もない令嬢たちを誑かしておきながら、いざ誤解が解けた途端に、以前からの婚約者と幸せになりたいと考えているんだからね。彼女たちにはそれぞれ一度くらい刺されても文句は言えないと思う」
「……『罪もない』かどうかは、多方面から異論が出そうですけれど」
「えっ?」
「いいえ、何でもありませんわ」
『いやー、セインは無自覚に悪女ホイホイだから実に助かる』
とは、実は国内の暗部を統括している第三王子の言だった。
これまでにセイン様の「運命の相手」とされてきた令嬢たちは全て、叩けば山ほど埃の出る身だったらしい。中には何と、実家が裏で敵国と繋がっていた者までいたのだという。
……よりにもよってハニートラップに引っ掛かりかけるとか、何してるんですかセイン様! と、私が内心で絶叫したことは言うまでもない。
『……ですが、そういうスパイ的役割の女性なら、むしろ理想的な『運命のお相手』を演じるのでは?』
『そうね。でもどうやらそのスパイもどきは、あろうことか本気でセインに惚れ込んでしまったらしくて』
『…………はいぃ?』
婚約者がハニートラップに引っかかったのかと思いきや、彼の方が逆に相手を引っかけていた件。しかもやっぱり無意識で。
……いや、セイン様はその令嬢を口説き落とす気満々だったのだから、無意識ではないのか。いや、でも目的や意図が全然違うわけで……でもでも、うーん……
混乱しておかしな方向に苦悩する私の前で、『我が息子ながら恐ろしいこと』と、わざとらしくため息をつかれる王妃様。その隣では、どうやら笑い上戸らしい第三王子が、この時も元気に爆笑していた。
そんな三男をべしっと扇で叩き──それでもなかなか笑いは収まらなかった──、王妃様は説明を続ける。
『そうなってしまったら、本来の婚約者であるフィオナの存在が目障りでどうしようもなくなったみたいね。うっかりとセインの前で口を滑らせて、貴女の悪口をないことないこと言ってしまったのよ』
『そうしたらまあ、ものの見事にあいつの逆鱗に触れて、言葉の刃で滅多切りにされて再起不能になったところを、めでたく暗部預かりになったってわけだ。ほんと愛されてるよな、『セインの妖精』?』
くっくっくっ、とまだ笑い続ける未来の義兄を、気恥ずかしさを隠したくて、不敬にもきっと睨み付けてしまった。
『お言葉ですが、本当にセイン様が私のことを愛してくださっているのなら、『運命のお相手』をああもしつこく探されたりはしないはずです』
『だから『局地的大馬鹿』なんだよ、あいつは。──ま、近いうちに今回の『運命の相手』とやらにも振られて、律儀にそっちにも報告しに行くだろうから、その時には昔の思い出話でもしてやってくれ』
『はあ……』
というやりとりが王妃様のお部屋で行われたのが、つい昨日のことだった。
退出する間際、『辺境伯領にはきっちり連絡員たちを派遣するからよろしくなー』なんて言われたけれど。ついでに手土産と称して、歴代の「運命(略)」についての事細かな報告書をどっさり持たされたりもしたわけだけど。
……セイン様にもいずれ見せるべきとは言え、いつにしようかしら。
でもまあ、今はそれよりも──
「セイン様。結婚までの期間で、これまでの振る舞いに対する償いを、私にきちんとしていただけます?」
「それは勿論! 私にできることなら何でもするよ!」
あえて社交用の笑みを浮かべて尋ねれば、食い気味に身を乗り出して返答された。……大型犬みたいで可愛い、と思ってしまうあたり、私も大概セイン様に甘い気がする。
思えばそもそもこの三年間、理由はどうあれ浮気をし通しの婚約者を何だかんだと受け入れてきた時点で、甘いどころの話ではなかったのだけれど。
「では、そうですね……まず真っ先に、していただきたいことは──」
意味深に間を置くと、身構えたセイン様の喉がごくりと鳴る音がした。
あれこれと予想する時間を存分に与えた後で、私はふわりと唇を綻ばせ、心からの望みを口にした。
「婚約者として、私をきちんとしたデートに連れていってくださいませ。セイン様がこれまで『運命のお相手』に使われていた時間を、これからは全て私と過ごすようにしていただきたいのです」
「え…………」
完全に予想外だったらしく、セイン様はしばらく呆然とした表情で目をしばたたかせていた。
「……私にとっては願ってもないことだけど、フィオナは本当にいいのかい?」
「私からの申し出ですもの、当然ですわ。婚約者の権利として、数々のご令嬢方を見事陥落させたセイン様の手腕を、実際に体験してみたくもありますし?」
「……フィオナ……」
がくりと再び肩を落とすセイン様。物足りない気もするけれど、意趣返しはこれくらいにしておこうかしらね。
それに、何も彼を責めるためだけに言ったことではないのだし。
「本来ならとうの昔に婚約破棄しているところを、婚儀までの期間で私を存分に口説き落とす許可を差し上げたのですから、むしろ感謝していただきたいところですのよ?」
婚約者とは言え王子に対して何様のつもりかと、我ながら思わなくもない大上段からの物言いだが、これくらいは十分許容範囲だと思って口にした。
のだけれど。
「そうだね、うん。これでようやく、誰も何も気にすることなく、愛する婚約者と恋人になる努力ができるようになったんだ。──フィオナ本人の許しが出たんだから、何も遠慮はいらないよね?」
──ぎらり、と。
爽やかな青空のような澄んだ瞳に、肉食獣を彷彿とさせる光が閃いた……ような気がする。
「え。ええと……セイン、様……?」
「覚悟してね、フィオナ。私ができる全力を尽くして、君を振り向かせてみせるから」
──果たして、その宣言通り。
私はその翌日から、とてつもなく甘く優しいデートやエスコートと、私個人の許容範囲ぎりぎりを見極めた恋人らしいスキンシップの数々に翻弄され、恥ずかしさで叫びたくなるような日々を送る羽目になる。
「──セイン様! まさか今までの『運命のお相手』にも、こんなことをなさっていたんですか!?」
「まさか。確かに伴侶候補として考えてはいたけど、正式に婚約してもいない相手だし。何より彼女たちは、雰囲気は似ていてもフィオナじゃないから、どうにも食指が動かなくてね。物凄く今更だけど、私が自分から触れたいと思うのは、唯一フィオナだけみたいだ」
「なっ……!! 他人事のように仰らないでください!」
「あーあ。セインの奴、すっかり箍が外れたみたいだな。ま、頑張ってくれ、フィオナ嬢」
と、助けを求めるには少し遠すぎる場所で、第三王子がとても楽しそうにつぶやいていたことなど、色んな意味で婚約者にしっかり捕獲されつつある私が気づくことはない。
……それでもやっぱり、「こうなる前に婚約破棄をしていれば……」なんて考えは、私の頭には決して浮かびはしないのだけれど。
「愛しているよ、フィオナ」
「〜〜〜〜っ!!」
そして、今日も今日とて私フィオナは、砂糖と蜂蜜の海に溺れそうな時間を婚約者と過ごすことになるのだった。
実は婚約者にベタ惚れな王子と、溺愛されてることにさっぱり気づいてない(というか気づきようがない?)伯爵令嬢でした。
なお、一番気楽で楽しめる位置にいたのは第三王子です。有能だけど素行に難アリなので、地味に王家の頭痛の種になってそうな人。本人は全然気にしてないけど。半分くらいは仕事のせいだし。