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三国志演義

三国志演義・三顧の礼~臥龍出蘆~

作者: 霧夜シオン

この台本は故・横山光輝氏、及び、吉川英治氏の著作した三国志や各種

ゲーム等に、作者の想像を加えた台本となっています。その点を許容で

きる方は是非演じてみていただければ幸いです。

なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかって打てな

い)場合、遺憾ながらカタカナ表記とさせていただいております。何卒

ご了承ください<m(__)m>


なお、上演の際は漢字チェックをしっかりとお願いします。

また、金銭の絡まない上演方法でお願いします。

     

ある程度はルビを振っていますが、一度振ったルビは同じ、または他の

キャラのセリフに同じのが登場しても打ってない場合がありますので、

注意してください。


声劇台本:三国志演義・三顧の礼~臥龍出蘆~


作者:霧夜シオン


所要時間:約20分


必要演者数:2人(2:0:0)

        

はじめに:この台本は故・横山光輝氏、及び、吉川英治氏の著作した三国志や各種

     ゲーム等に、作者の想像を加えた台本となっています。その点を許容で

     きる方は是非演じてみていただければ幸いです。

     なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかって打てな

     い)場合、遺憾ながらカタカナ表記とさせていただいております。何卒

     ご了承ください<m(__)m>


     なお、上演の際は漢字チェックをしっかりとお願いします。

     また、金銭の絡まない上演方法でお願いします。

     

     ある程度はルビを振っていますが、一度振ったルビは同じ、または他の

     キャラのセリフに同じのが登場しても打ってない場合がありますので、

     注意してください。



●登場人物


劉備りゅうび・♂:あざな玄徳げんとく

     中山靖王ちゅうざんせいおう劉勝りゅうしょう末孫まっそんにして漢の景帝けいてい玄孫げんそん

     徐庶じょしょから前漢の張良子房ちょうりょうしぼう、周の太公望呂尚たいこうぼうりょしょうに匹敵する人物として推挙

     された、臥龍がりゅうこと諸葛亮孔明しょかつりょうこうめいに三度目にしてやっと会う事が叶った。

     四十七歳。

     


諸葛亮しょかつりょう・♂:あざな孔明こうめい道号どうごう臥龍がりゅう

      司馬徽しばきの門下として徐庶じょしょやホウとうと交わり、己の才能を磨いていたが

      、ある時から隆中りゅうちゅう隠遁いんとん生活を送り始める。

      そんな中、新野しんやを治めていた劉備玄徳りゅうびげんとくが何度も訪ねてくるがそのたび

      にすれ違い、三度目にして初めて顔を合わせる。

      歴史に名高い三顧さんこの礼である。

      のちに中国史上屈指の名宰相めいさいしょうとして名を残す人物。二十七歳。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


諸葛亮(N):この身はもともと一介の平民、数年前からこの南陽なんよう隆中りゅうちゅうにおい

       て隠遁いんとん生活を送り、諸侯に仕えて名誉や栄達を求めようと思わなか

       った。

       しかし目の前にいるこのお方は、わざわざ三度も自分を訪ねて来ら

       れている。


劉備(N):水鏡すいきょう先生に軍師の必要性を教示されて後、私は徐庶元直じょしょげんちょくという人物

      に出会い、軍師として迎えた。

      新野しんやに攻め込んできた曹操そうそう軍を二度にわたって撃滅してのけた兵法。

      今までの苦戦が嘘のような勝利に、私は少なからず希望を抱いた。

      しかしその縁は儚く、徐庶じょしょは母親を曹操に人質に取られてしまう。

      許昌きょしょうへの去り際に、彼は自分以上の大賢人として臥龍がりゅう諸葛亮孔明しょかつりょうこうめい

      という人物を推挙していった。

      紆余曲折を経て今日、ようやく待望していた対面がかなったのだ。


諸葛亮:みたびもご足労をわずらわせたこと、誠に申し訳ございません。

    わたくしが、諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめいにございます。


劉備:いえ、こうしてお会いできた事を嬉しく思います、臥龍がりゅう先生。


諸葛亮:二度目のご来訪の際に残していかれた御書簡ごしょかんを拝見し、将軍の民と国への

    思いが切なるものである事、感服いたしました。

    しかしながら、わたくしは若年じゃくねんで才覚乏しく、将軍のご期待に応える

    力のない事を遺憾いかんに思うばかりであります。


劉備:いや、先生をよく知る水鏡すいきょう先生・司馬徽しばきや、徐庶じょしょの言葉にどうして誤りがあ

   りましょうか。

   どうか、愚鈍なわたくしを教えてください。


諸葛亮:司馬徽しばき徐庶じょしょは優れた人物ですが、わたくしは御覧の通り、一介の農夫に

    すぎません。どうして天下国家のはかりごとを論じられましょうか。

    将軍はぎょくを捨てて石を取ろうとなされている。


劉備:いいえ、石をぎょくと偽ろうとしてもできないように、ぎょくを石に見せようとし

   ても信じる者はいません。先生はこの乱世を救う才をお持ちであられるのに

   、若くして隠遁いんとんの道を選ばれるのは誤りであると思います。


諸葛亮:誤り・・・ですか。


劉備:あの孔子こうしでさえ乱世の折には民衆の中に立ち、諸国に教えを広めました。

   今はその時よりも遥かに乱れております。今こそ、先生のような賢人を必要

   としているのです。民達はそれを待ち望んでいるのです。

   どうか、起ち上がって下さい!


諸葛亮:・・・将軍のお言葉を聞いて、久し振りに人の熱意に触れた気がします。

    己の為でなく、本当に民達の事を思っておられる。

    ご自分に力が無いと思われているようですが、将軍のお力でも国と民を

    救う事は出来ます。

    もし、わたくしのような者の取るに足らぬ意見でもお聴きくださるのであ

    れば、方法がないでもありませんが・・・。


劉備:おお! 願わくば、忌憚きたんのない考えをお聞かせ願いたい!

   国を思い、民を憂う気持ちは誰にも負けないつもりでありますが、実力にお

   いては曹操そうそうにもう歯が立ちませぬ。

   先生、何とすればよいのでしょうか。


諸葛亮:・・・董卓とうたく以降、大小の英傑たちは星の数ほど現れました。

    河北かほくゆう袁紹えんしょうなどは四つの州を治めて強大な力を有し、最も天下に近い

    勢力だったでしょう。

    しかし、遥かに年若く、実力も及ばないはずの曹操そうそうに滅ぼされました。

    彼はみかどを擁し、その勢いは昇る朝日の如きものがあります。これと争う事

    はもはや、不可能に近いと言っても過言ではありますまい。


劉備:ああ・・・時すでに遅しという事でしょうか・・・。


諸葛亮:いえ、ここで南へ目を転じてみましょう。南方の孫権そんけんが治めており、

    知勇の将も多く、経済的にも豊かで地盤は既に定まっております。

    こう見ると、南北どちらにも足を延ばすことができないように見えます。

    しかし、まだ両者の勢力に属していない土地があります。

    それが、わたくし達のいるこの荊州けいしゅうと、西にある益州えきしゅうです。


劉備:なるほど、確かに!


諸葛亮:荊州けいしゅうは大陸中央に位置し、軍を動かす際に非常に便利な土地です。

    益州えきしゅうも外敵の侵入を容易に許さない地形を持ち、守りには事欠ことかきません。


劉備:おお・・・!


諸葛亮:さあ、ここです。この荊州けいしゅうから国を興し、益州えきしゅうを平定し、その上で天下

    に臨んではじめて曹操そうそうに対抗し、孫権そんけんとは外交をもって対等に渡り合える

    でしょう。

    ひいては、漢王朝再興かんおうちょうさいこうの実現も夢ではありません。

    これをもって、天下三分てんかさんぶんの計とします。


劉備:天下・・・三分の計・・・・!


諸葛亮:これをご覧ください。おおまかなものではありますが、益州えきしゅうの地図です。

    この広大さ、肥沃ひよくさ、堅固けんごさは、将来を約束された土地と言ってよいで

    しょう。


劉備:これほどとは・・・いかにわたくしの見る目が狭いか、思い知らされた気分

   です。


諸葛亮:少々遅まきながら、って立つとなればここしかありますまい。

    北に雄飛ゆうひする曹操そうそうはすなわち、天の時を得ています。

    南に鎮座する孫権そんけんは、地の利を占めていると言えましょう。

    それに対して将軍は、西より人の和をもって国を興すべきかと存じます。


劉備:ああ・・・先生の卓見たっけんをうかがい、まるで霧の晴れるような心地がします

   !

   益州えきしゅうで兵馬を養い、中原ちゅうげんに打ってでる・・・夢にも思わなかった・・・!

   ・・・ですが先生、わたくしには一つ気がかりがございます。

   荊州けいしゅう劉表りゅうひょうといい、益州えきしゅう劉璋りゅうしょうといい、いずれもわたくしとは同じ

   漢王室かんおうしつの一族に繋がる者ですから、その国を奪えば世間から非難を浴びは

   しますまいか?


諸葛亮:ご心配には及びません。

    劉表りゅうひょうは既に老齢、病もあり寿命もあとわずかと聞いています。

    彼の二人の子も、長男の劉琦りゅうきは病弱で次男の劉琮りゅうそうは幼い。

    そして跡継ぎを巡って双方の重臣達の暗闘あんとうが絶えません。

    将軍は蔡瑁さいぼうに追われ、命からがら檀溪だんけいを渡った事をお忘れですか?


劉備:確かに・・・あの急流に追い詰められた時は、死を覚悟しました。


諸葛亮:幸い、将軍は劉表りゅうひょうに信頼されております。二人の子の後見人となって

    荊州けいしゅうを治めるのがよろしいでしょう。

    また益州えきしゅう劉璋りゅうしょうは健在とはいえ、その性質は暗愚です。加えて悪政あくせい続き

    で民は苦しみに喘いでいます。

    更には漢中かんちゅう五斗米道ごとべいどうなる邪教に浸食され、このままでは遠くない先、

    益州は必ず滅ぶでしょう。


劉備:五斗米道・・・そのような教団が?


諸葛亮:はい。

    張魯を教祖とし、まやかしを仙人の術と称して民達を欺き、血と汗を搾り

    取っている者共です。


劉備:なんと悪辣あくらつな・・・。

   つまり益州えきしゅうは今、内部に憂いを、外部にわずらいを抱えているのですな?


諸葛亮:そうです。それゆえ、劉璋りゅうしょうを征伐して五斗米道ごとべいどうからの侵略を防ぎ、民の

    苦しみを取り除く事に何も遠慮は要りません。

    将軍がそれを行わずして、曹操そうそう孫権そんけんを相手に戦う意義がどこにあります

    か?


劉備:なるほど・・・よくわかりました。思うに、わたくしの迷いは大義たいぎ小義しょうぎ

   混同する為に起きるものらしい。今、先生のお言葉を聞いて、はっきりと

   心に悟るものがありました。


諸葛亮:人間、誰しもが持っている弱点です。将軍だけではありません。


劉備:先生、どうか願わくば共に新野しんやへ来ていただき、常に傍らにあってこの玄徳げんとく

   をお教えください。


諸葛亮:いえ、それはできません。


劉備:な、何故ですか!?


諸葛亮:今までの話は、これまでの失礼を詫びる為の寸志すんしです。

    やはりわたくしはぶんをわきまえ、この隆中りゅうちゅう晴耕雨読せいこううどくの日々を過ごして

    いとうございます。


劉備:わたくし一人では、先生が示してくださった方策ほうさくの十分の一も成し遂げられ

   ますまい。

   先生! なにとぞ、この玄徳げんとくにお力を貸してください!


諸葛亮:・・・・・・。


劉備:どうか、どうかお願いします!


諸葛亮:・・・・・・。


劉備:・・・駄目で、ございますか・・・、わたくしの力が至らないばかりに漢の

   天下が滅び、万民ばんみんの苦しみを救う事もできないとは・・・。

   うっ、うう・・・・・【声を詰まらせる】


   【三拍】


諸葛亮:・・・・・将軍のお気持ちはよく分かりました。

    常日頃この胸に描いていた夢を、将軍に託しても良いのかもしれませぬ。

    たいして才能のないこの身ではございますが、共に国事に尽くしましょ

    う。


劉備:!! おおお、では、わたくしに力を貸していただけますか!

   ああ、ありがたい!!


諸葛亮:これも何かの縁でしょう。わたくしは将軍に巡り合うべく、今日までこの

    地で晴耕雨読せいこううどくの日々を送り、の目を待っていたのかもしれません。


劉備:あまりの喜びで、何やら夢のような心地がします。

   おおそうだ、主従しゅじゅうの固めのしるしに、こちらの礼物れいもつをお納めいただきたい。


諸葛亮:いえ、そのようなものは受け取れませぬ。


劉備:賢人を招聘しょうへいするには礼儀も必要かと。自分の心ばかりのものですから、

   どうかまげてお納めいただきたい。


諸葛亮:・・・分かりました。


劉備:さ、先生、参りましょう。我が義弟おとうと達にもお引き合わせいたします。


諸葛亮(N):この時、自分の身が大きな時代のうねりに飲み込まれていくのを感

       じた。歴史の転換点のカギとして、次代へと繋がる分岐点として。


劉備(N):臥龍がりゅう鳳雛ほうすうのいずれかを得れば、天下を望めるだろう。

      かつて水鏡すいきょう先生こと司馬徽しばきは、わたしにそう言われた。

      今、その一人である臥龍がりゅう諸葛亮孔明しょかつりょうこうめいと言う人物を得て、わたしの胸

      には大きな希望のが宿った。

      だがそれと同時に、大きな試練が襲い掛かろうとしていたのだ。



END




●あとがき

はいはいはいおはこんばんちわー、作者であります。

今回は短めなおかつ、サシ劇の台本を書いてみました。

ロングバージョンを書くかどうかはまだ思案中です( ・∀・)ノ

それよりも先に、既に4~5本掛け持ちで書いてる現状ですので(;^ω^)

もしツイキャスやスカイプ、ディスコードで上演の際は表劇裏劇にかかわらず、良ければ声をかけていた

だければ聞きに参ります。録画はぜひ残していただければ幸いです。

ではでは!



はいはいはいおはこんばんちわー、作者であります。

今回は短めなおかつ、サシ劇の台本を書いてみました。

ロングバージョンを書くかどうかはまだ思案中です( ・∀・)ノ

それよりも先に、既に4~5本掛け持ちで書いてる現状ですので(;^ω^)

もしツイキャスやスカイプ、ディスコードで上演の際は表劇裏劇にかかわらず、良ければ声をかけていただければ聞きに参ります。録画はぜひ残していただければ幸いです。

ではでは!


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