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とある中年男性の転生冒険記  作者: うしのまるやき
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第68話 ほう、ここまでくると何でもありですな。

68話が完成したので投稿です。楽しんで頂けたら幸いです。

 ミスリルゴーレムは私単独で倒したため、残りのメンバーは全く疲れていなかったためそのまま進むことにした。しかし、これどこまで続くんだろうか? マジでゴーレムは勘弁してくれ。もちろん素材そのまま手に入るなら大歓迎だけどね。


 進んでいくと部屋が見えたが、何かおかしい。ってか、これ一面水? ってことは巨大な水槽か何か? もう少し近づいてみますか。


「巨大な水槽、ですわね。」


「はい、暗くて水が綺麗かどうかわかりませんが。とりあえず魔物は潜んでいるようです。間違いなく高ランクの魔物でしょうけど。」


 アンジェリカさんとセイラさんの会話を聞きながら気配に向かって鑑定する。ほう、クラーケン、しかも特別種ですか。少し試したいことがあるので、水も鑑定しておきますか。ふむ、水はと、おお、これはアルカリが強いと。なるほど、素晴らしいほどに通電してくれそうですね、そうなると派手にいけますね。


「マーブル、ジェミニ通信からの報告ですが、これは特別種のクラーケンだそうです。」


「ク、クラーケンですの?」


「港町に出現したら国中で大騒ぎになるほどの魔物だけど?」


「ええ、それほどの魔物だそうですが、今回はどうにかなるかもしれません。」


「と、いうことは、アイスさんはすでに作戦を考えていらしているのですか?」


「はい、恐らく簡単に倒せると思います。万が一のため、対策も考えてありますのでご安心下さい。」


「それなら安心ですわね、早速お聞かせ頂きますかしら。」


「うん、凄く気になる。」


「・・・やる。」


「今回の作戦ですが、恐らくこの階では一番楽に事が進むと思います。で、今回は合体攻撃で美しく仕留めていきたいと考えております。アンジェリカさんが今回の肝となると思いますのでよろしく。」


「わたくしが、肝ですの?」


「はい。ところで、アンジェリカさんは雷を起こすことは可能でしたよね?」


「ええ、セイラとルカ以外には見せておりませんの。まあ、アイスさんには見破られましたが。」


「ははっ、それは偶然です。見破ったとはいえないと思いますよ。それで威力の方はどうですか?」


「威力ですか? 集中すればミノタウロスくらいは倒せますが、間違いなくアイスさんとマーブルちゃんの合体技には遠く及びませんわ。」


「いや、単体でそれだけの威力が出るなら間違いなく化け物です。ふふっ、今回の作戦が楽しみです。」


「・・・アイス、何か黒い顔してる。」


「ええ、アイスさんもそんな顔されるのですね、意外でしたわ。」


「黒い顔って、そんな顔してましたか? 個人的にはいたずら小僧の表情のつもりでしたが。」


「肯定的に捉えても、度の過ぎたイダズラを企んでるようにしか見えませんわね。」


「うんうん、うちのボンクラ貴族が年中している顔だね。」


「ええっ、そんなにひどかったのか、、、。まあ、それはそうとして、状況説明と作戦の指示を行いますか。」


「お願いしますわ。」


「では、状況説明です。巨大な水槽にクラーケンの特別種がおります。それも数体です。普通に戦ったら体力がいくらあっても勝てません。というわけで、合体攻撃と連鎖攻撃で仕留めようと思います。では、最初にマーブル隊員は、私が上空を氷の粒でいっぱいにしますので、準備が出来ましたら部屋一帯を緩やかに巻き込んで下さい。」


「ミャア!」マーブル隊員の敬礼が炸裂する。萌えポイント(MP)に大ダメージ。


「次ですが、セイラ隊員は矢をつがえた状態で待機。ルカ隊員はセイラ隊員の矢に火属性魔法を付与して下さい、それも強めで。セイラ隊員は魔法付与が確認されたら部屋に向かって矢を放って下さい。」


「了解だよ。」


「ん、わかった。」


 2人も敬礼で応える。ファンにはたまらないんだろうな。これも役得だ。


「セイラ隊員が矢を放ってあの部屋の中に到着すると、雷が部屋中に発生しますが、この時点では相手にダメージどころか水の中にも雷は届いておりません。ということで、アンジェリカ隊員は合成雷が発生しましたら、部屋の中心めがけて今できる最大の威力で雷魔法を放って下さい。範囲は一体集中でお願いします。」


「わかりましたわ、わたくしにお任せあれ。」


 優雅な仕草で敬礼をする。これだもん、人気が出るのは当たり前だな。


「恐らく、クラーケンは触手を出してジャマをしてくるはずです。そこで、ジェミニ隊員は出てきた触手を切り裂いてもらいたいです。ある意味これが一番重要な任務かもしれません。」


「キュウ(ワタシにお任せです。あのイカに何もさせないです!!)!!」


「ライム隊員とオニキス隊員はいつもどおり戦姫の3人を護ってください。ジェミニ隊員が迎撃してくれるとはいえ、万が一ということもあるので。」


「いつもどおり、お姉ちゃん達をまもるよー!」


「ピー!」


「ところで、アイス隊長。この雷魔法は詠唱に時間が少しかかりますの。ですからそれに合わせて頂けるとありがたいのですが。」


「わかりました。恐らく連携とはいえほぼ一瞬ですので、そちらに合わせますので準備をお願いしますね。」


「ありがとうございます。では、いきますわね。『天の神々よ、我が呼びかけに応え、その力を示し給うことを願う!!』」


 詠唱が始まると、アンジェリカさんの体に黄金の気があふれてきた。確かにこれは奥の手だな。それをこの戦闘で披露させてしまい少し申し訳なく思ったが、折角の攻撃手段なんだから使わない手はない。ちなみに私には奥の手は存在しない。一つくらい欲しいなとちょっと思ったりする。


 アンジェリカさんの詠唱が続いているが、その間にクラーケンが触手を出してこちらに攻撃を仕掛けていたが、ジェミニが問題なく触手を切り裂いていく。ごくたまに攻撃が漏れてきているが、これらはライムとオニキスがしっかりとはじいて防御する。ちなみに、ジェミニはライム達にも活躍の場を与えようとしてわざと漏らしている感がある。なんでそんな感じがするかというと、防御に失敗しても問題ないような部分だけに限定して漏らしているからだ。そうこうしているうちに、アンジェリカさんの詠唱が終わったらしく、全身が黄金に光り輝いたアンジェリカさんが「いつでもよろしくってよ。」と準備完了を伝えてくれた。


「では、作戦開始です!」


 私が水術で部屋一帯を霧状にする。もちろん全部氷化してある。部屋一帯が白くなる。


 それを確認したマーブルが風で覆って緩やかに回転させる。白かった霧が黒っぽく変色していく。部屋一面が黒い塊に変わっていく。


 セイラさんが矢を出して引き絞ると、ルカさんが矢に魔法をかける。矢の先端が青い炎に包まれた。それを確認してセイラさんが矢を放つ。矢が黒い塊の中に入り込むと、黒い塊は電気を帯びた塊に変わる。


「『天の神々よ、今こそその力で敵を滅せよ。』ジャッジメント!!」


 一筋の太い電気の帯が黒い塊の中心に放たれると、それに応えるように黒い塊が雷に変わり部屋一面に轟音が響き渡る。もちろん、そのままの状態だとこちらの鼓膜が保たないため、とっさに水術で氷の壁を作って音や衝撃を和らげる。


 音が収まると、巨大な水槽の部屋はいつも通りの部屋に戻っており、そこには魔石が4つ置かれていた。


「お、魔石発見。無事倒せましたね。では、作戦完了です。みなさん、お疲れ様でした。」


 魔石はバスケットボールより一回り大きいものだった。流石はクラーケンの特別種だ。それよりも、作戦通りに進んで良かった。


「それにしても、今の攻撃はもの凄かったですわね、、、。」


「うん、凄かった。」


「普通に合体できても、ここまでにはならない。」


「いやあ、上手くいきましたね。ここまで綺麗に決まると気分がいいですね。」


「ア、アイスさん、あれは、どうやったらあそこまでの威力になるのです?」


「あれですか? あれは、私とマーブルであの部屋の水分を無くした状態にしました。水槽もあったので、その水槽から水分が出ないように風で閉じ込めました。その風に火を入れると雷の素が出来上がるので、後はアンジェリカさんの雷魔法でその雷の素を合わせる形であの威力になります。」


「うん、なるほど、よくわからなかった。」


「うん、理解できなかった。」


 まあ、わかりづらいでしょうね。静電気の応用なだけですけど、そもそもこの世界で静電気を理解できている人がどれだけいることやら。転生者でも全員がわかっているわけではないでしょうしね。


「あと、実はそれだけでなくて、先程の水の性質も影響しております。」


「水にもですの?」


「ええ、水といっても、飲める水と飲めない水とかありますよね?」


「ええ、確かにそう言われてみるとそうですわよね。」


「そうです。水にも種類がありまして、今回の水は電気を通しやすい状態の水だったので、今回の作戦を採りました。」


「そうなんですの? では、もしこの水が電気を通しづらいものでしたら、どうなさったのです?」


「その時は、この部屋の水を凍らせてその上を通過するもよし、凍らせようとして出てきたところを仕留めるもよし、といったところでしょうね。何せ私の数少ないスキルの1つである水術が最も活かせる場所ですからね、方法は馬鹿みたいにありますよ。」


「そうでしたわね。でも、何でこんな面倒な作戦を採ったのです?」


「折角これだけのメンバーが揃っているのですから、派手にやりたいじゃないですか。こんな攻撃地上ではやれないですからね。」


「確かにそうでした。奥の手でしたから、おいそれとは披露できませんし、川や湖などでこんなことしますと、他の魚が全滅してしまいますわ。」


「うんうん、これは危なくてできないよね。」


「でも、これだけ派手にやると気持ちいい。」


 小休止をとりながら、こんな会話をしていた。ちなみにここまで進んでいても戦闘時間はそれほどではなく、むしろ休憩時間の方が多い感じで進んでいた。ここは派手な割に短時間であっさりと決着がついたため、小休止で十分回復できたので次に進むことにした。ちなみにここでは魔石以外には何も出てこなかった。多少のがっかり感はあったものの、綺麗に合体攻撃が決まったことで気分がよかった。


 そんな気持ちを保った状態で次に進む。さて、次はどんな魔物なのだろうか。というか、いい加減ゴールしたいです。ランク高めな敵のくせに魔石しか出さないのは面倒でしかない。





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