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とある中年男性の転生冒険記  作者: うしのまるやき
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第60話 ほう、やはり来ましたか。まずは準備ですな。

1話で終わるはずが終わらなかったorz。戦い自体はいつも通りアッサリの予定ですが、果たしてどうなるやら。今回は戦闘はありません。それでもよろしければご覧下さい。

 テシテシ、テシテシ、ポンポン、やはりどんなに朝早くてもこれがなくては一日が始まらない、ということでいつもより早くマーブル達が起こしてくれた。昨日の話の内容を理解してくれていたのだろう。ありがたいことだ。顔を洗ってサッパリしてから1階に降りると、メラちゃんはすでに朝食の準備などをしていた。いつもこんなに早くから準備しているんだ。


「お早うございます、アイスさん達。今日は早いんですね。」


「はい、出立が早いと聞いておりましたのでいつもより早く起こしてもらいました。」


「えっ? マーブルちゃん達が起こしてくれるんですか? 凄く羨ましいです!」


「そうでしょうそうでしょう。私の自慢の達ですからね。」


「はいはい、親馬鹿はその辺にしてもらいますね。ところで朝食はもう食べられますけどどうします?」


「もちろん、頂きますよ。そのためにここに来たようなものですから。」


「はい、ではご用意しますね。」


 食堂のテーブルに座ると、早速朝食が出てきた。いつも通りの硬めのパンとスープだ。ホーク亭は食事も宿代も安いのに質は高い。特に食事は評判が高く、昼時は行列ができるほどだ。食事の素材なんかは基本的に安価なものでしか構成されていないにも関わらず、これほどの味を出している。タンバラの街でも同様だ。同じ一族とはいえ本当に別の人が料理などしているのだろうか? ゲームの世界ではアリだけど、この世界は一応現実世界のはずだ。これで夢の世界だったら一生覚めないようにお願いしておく。マーブル達と離れたくないからね。


 食事が終わった頃に戦姫の3人がやってきた。とはいえ、人目につかない格好をしていたので、最初はわからなかった。セイラさんがこちらに話しかけてようやく気付いたくらいだ。3人と挨拶を交わしてからメラちゃん達にお世話になった挨拶をしていく。また、お礼としてワイルドボアの肉を進呈しておいた。最初は驚いていたが、腐るほど持っているから大丈夫と押しつけた感じで収めてもらった。って毎回こんな感じになっているな。まあ、いいか。


 挨拶をしてから宿を出て、王都の門へと移動する。ジュセイさんはおらず、知らない人が対応した。王都を出て故郷に帰ることを告げて城門を出る。ジュセイさんがいなかったのは戦姫にとって幸いだったかもしれない。いや、逆に事情を知っているからこそ敢えてその場には居なかった可能性もある。正直そちらの線が強そうだ、ということはほぼ確実に何か起こりそうだな。


 道は街道を使わずに行きで通った道を進んでいく。基本的にこの道は危険なので普通の人は道がわかっていても通らない。この道中なら一般人に迷惑をかけることなく移動できるし、何より食べられる木の実を始めとした植物が豊富だ。しかも、先日インフィニティがこの辺りを移動していた、ということは土の質もよくなっているということで、さらに期待は膨らむ。


 食べられる植物を探しながら移動する。途中で雑談も交えてのことだ。その会話の途中でアンジェリカさんがいきなり話題を変えてきた。


「話は変わりますが、アイスさん、昨日いきなりタンバラの街へ戻ることをお願いしてしまい申し訳ありませんでした。」


「いえ、それについてはお気になさらず。正直王都にいるのも疲れてきていたところだったので。しかし、いきなりだったのは何か事情がおありのようですが、もし言いたくなければ言わなくてもいいのですよ。護衛期間もまだ残っておりますし、これも仕事ですよ。そう思っていて下さい。」


「感謝いたしますわ。でも、こうなった事情を言わなければならないと思いますの。」


「そうですか、では、伺います。」


「それではお話ししますわ。アイスさん、先日のミノタウロス討伐のときに、どさくさに紛れてわたくしを襲うという話は聞いておりましたかしら?」


「ええ、それも踏まえてのねぐらでの宿泊でしたからね。」


「今回、いきなり王都を出たのはそのことですの。わたくしを襲撃するよう冒険者に依頼した貴族はまだあきらめていないらしく、隙を見ては襲うように命令したらしいのですわ。つまらないことで王都を騒がすわけにはいかなかったので、このようなことになってしまいましたの。ホント、鬱陶しいですわ。」


「なるほど、帰りの道中だったら、盗賊扱いにして一網打尽にできる、ということですね。」


「そうですわ。お父様達はこの機会に貴族の数を減らそうとしておりますの。アイスさんにお墨付きを渡したのはその一環ですわ。何か利用するような真似をしてお詫びのしようもありませんが。」


「ふむふむ。いやに要望がすんなり通ったなと思っていたのですが、そういうことだったのですね。この国のためになって王様達も嬉しい、私も自由が得られて嬉しい、お互いに利があるということです。」


「そう言って頂けると信じておりましたわ。正直タンヌ王国のために頑張っている貴族達はごく少数、残りは王国のためにならないどころか、王国の繁栄をジャマしているようなものばかりですの。そこで、わたくしを襲ってきた連中を返り討ちにして証拠をつかんで、できるだけ多くの貴族達を取りつぶしていこうというのが今回の行動の目的ですの。それ以上にわたくし達も王都を離れて自由に行動できることの方が大きいですわ。」


「ははっ、アンジェリカさん達にとっては、そちらが主目的なのでしょうね。」


「ええ、王都での生活は窮屈な上に退屈でしたの。暇つぶしに兵士や騎士達と戦闘訓練を行いましたが、てんで話になりませんの。ランバラル近衛兵長とオルステッド軍団長くらいしかまともに相手になりませんでしたのよ、まったく彼らは普段何をなさっているのでしょうか、疑問に思いますわ。」


「では、のんびりと戻るとしましょうかね。幸いにも山の幸は豊富にありそうですし。何せインフィニティがここに現れたのですから。」


「そうですわね、どんな美味しいものが食べられるのが楽しみでしょうがないですわ。」


「はい、色々探しますよ。」


「特に、甘いもの、希望。」


 そんな感じで進んでいくと、こちらに近づいてくる気配を感じた。数はおよそ15といったところかな。


「アンジェリカさん、後方に賊が出現しました。数は15くらいですね。」


「承知しましたわ、ところでアイスさん、どうやって倒しますの?」


「正直策は必要ないと思っておりますので、堂々と迎え撃ちましょうかね。」


「そうはおっしゃいましても、あれを行いたいんですの。」


 思わず笑ってしまった。あれ、というのは私の作戦指示のことだろう。そこまで気に入ってもらえたのは正直嬉しい。ということは、マーブル達も期待しているのかな。では、期待に応えるとしますか。


「そこまでおっしゃるのであれば、やらないわけにはいきませんね。」


 この言葉にアンジェリカさんだけでなく残りのみんなも何か期待しているような目になった。もちろんマーブル達も期待の籠もった目でこちらを見ていた。


「では、これより盗賊殲滅作戦を行います。様子から察するに盗賊達の数は15匹。3匹ほど先行して居る感じですが、この3匹は冒険者崩れですね。その後ろを馬車で追っている感じです、って馬車? こんな道に? いやあ、ここまでの馬鹿って普通はおらんでしょう。あ、馬が止まった。中から人が出てきましたね。流石に降りてきたか。あ、失礼しました。」


 気配を探知しながら作戦を考えていたら、追っ手のあまりの馬鹿っぷりに思わずつぶやいてしまった。それを聞いていた戦姫の3人もこらえきれずに笑ってしまっていた。まあ、しばらく戦闘はないし、大した相手じゃないから問題ないですけどね。


「さて、気を取り直して、と。今回の作戦は戦姫の3人に特に頑張ってもらいます。今のペースから判断しますと2時間くらいで追いつかれる感じですが、それだと面白くないのでペースをさらに落として1時間後くらいに接敵しましょう。接敵しましたら、恐らく冒険者崩れ達が何事かをほざくと思われますので、私が対応しますので、アンジェリカさん達は無視でかまいません。では最初に、マーブル隊員とジェミニ隊員は私が対応し始めたら賊の後方に回り込んで下さい。恐らく彼らは君達の強さについて全くわかっておらず、逃げたと思うでしょう。で、回り込みましたらそのまま気付かれないように追って下さい。追っていた連中が逃げ出したときが君達の攻撃の時です。あ、今回は殺さないようにしてください。手や足くらいならつぶしても大丈夫です。」


「ミャッ!」


「キュウ(了解です!)!」


「戦姫の3人ですが、恐らく先手の3人は本隊が来るまでは時間稼ぎをすると思います。私が対応しますが、騒ぎ立てるだけで何もしてこないはずです。その間に魔法の詠唱なり適当に準備をしておいてください。あ、ちょっとお待ちを。本隊と合流したみたいですね。私が対応するのは変わらないとして、対応している間に戦闘準備を整えておいて下さい。敵の攻撃命令が出たときがこちらの攻撃のタイミングです。」


「承りましたわ!」


「了解したよ。」


「・・・おっけ。」


「あくまで今回の目的は敵の無力化がメインです。こちらに大人数でかかっていったにも関わらず返り討ちに遭ったという生き恥を晒してもらうのが主目的となります。恐らく王都からもアンジェリカさん達の様子を窺うべく何人か付いてきていると思います。私達は蹴散らすだけ。後処理は彼らに任せるとします。」


 そう言うと、ライムとオニキスがこちらに来てピョンピョン跳ねていた。あ、そうか、ゴメンね。


「言わなくても承知していたと思っていて、指令を伝え忘れて申し訳ない、改めてライム隊員とオニキス隊員はアンジェリカさん達の護衛です。ライム隊員はセイラさんとルカさんの護衛を優先、オニキス隊員はアンジェリカさんの護衛を最優先で。」


「わかったー。ボクがんばるよ!」


「ピー!!」


「あ、今回は証拠をたっぷりと用意しないといけないので、剥ぎ取りはなしです。大活躍の場がなくなってゴメンね、ライム、オニキス。」


「あるじー、気にしないで-。」


 うん、ライムも良い子だ。


「では、作戦を伝えましたが、まだまだ時間はありますので、今のうちに作戦の確認等を済ませておきましょう。では、これより歩くペースを更に落として接敵までの時間を短縮します。」


「「「おーーーー!」」」


 みんな敬礼とジャンプで応えてくれた。よし、私もいろいろと準備を済ませましょうかね。


いつもご覧頂きありがとうございます。もし気に入って頂けましたら、評価や感想、ブクマ登録をよろしくお願いします^^。

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