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とある中年男性の転生冒険記  作者: うしのまるやき
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第57話 ほう、喜んで頂けましたか。

1日のpvが1000アクセス突破する日も出てきました。正直信じられない気分でいっぱいです。これも日頃楽しみにしてくれている皆様のおかげです。誠にありがとうございます。


渡すもん渡して帰るつもりが、何やかんやですぐに帰れなかったことって結構ありますよね? 何だか今回はそんな感じになりました。よろしければ楽しんでくれると幸いです。

 戦姫との話が終わった後、予定通りアマデウス神殿へと向かった。昨日倒したミノタウロスの肉を教会に寄付するためだ。元々討伐を受けたのは肉を孤児院に寄付するためだった。ついでに革とかの素材と加工賃用の金貨も寄付して教会または孤児院に貢献している冒険者のために使ってもらう予定だ。仮にいきなり大金を持って教会の方達が変貌してしまったらそれはそれで致し方ない。まあ、そんなことにはならないと思うけど。


 アマデウス教会はホーク亭に近いためすぐに着いた。応対した教会員は私達のことを覚えていたらしくすぐに司教に会わせてくれた。


「アイスさんでしたね。先日は多額の寄付をいただき誠に感謝しております。して、本日はどのようなご用件でございますかな?」


「用件はアマデウスさ、神、へのお祈りと昨日の依頼で大量に手に入った素材や肉、並びに素材の加工賃としての費用を少々寄付させていただこうかと思いまして。」


「先日に引き続きありがとうございます。アマデウス様もさぞお喜びになるでしょう。もちろん我々も感謝いたします。では、ご案内いたします。どうぞ、こちらに。」


 司教さんは奥の倉庫みたいなところへと案内してくれた。倉庫はかなり大きいがほとんど空の状態だ。やはりいろいろと厳しいのだろう。先日ついでに購入しておいた、すのこのような低い台をいくつか出して、その上にミノタウロスの肉3頭分(実は5頭分)を置く。司教さん他教会員の面々は驚いていたが、かまわずに素材やら何やらを次々に出していく。肉と内臓はしっかり凍らせてあるし、若干水分をなくして削ぎ切りしやすいように加工してある。別の所に今度は素材をどんどん置いていく。


「ア、アイスさん、こ、この量は一体?」


「丁度ミノタウロスの討伐依頼があったので、倒した分をそのまま寄付させて頂きました。」


「ま、まさかこんなにもの凄い量頂けるとは思いませんでした。この量でしたら毎食提供しても1年は大丈夫でしょうが、流石にこの量は折角頂いたのに腐らせてしまいます。」


「ああ、その点は大丈夫ですよ。しっかりと凍らせてありますので、あと10年くらいは放っておいても問題ありません。ただ、注意点としましてはこの状態では削ぎ切りにしてスープの材料にするか、炒め物にするかしか調理方法がありませんので、残念ながらステーキはあきらめてもらうしかありません。」


「いえ、スープに使えるだけありがたいです。その分を孤児院や教会の運営費に充てることができます。アイスさん、本当に感謝いたします。」


「いえいえ、それでですね、肉だけでなく内臓も一緒に置いていきます。使い方は肉と同様に煮たり焼いたりしていただければ大丈夫です。新鮮な内臓はへたな肉よりも美味しいですよ。ここにある内臓は新鮮なうちに凍らせてありますので、こちらも向こう10年くらいは余裕で食べられます。もちろん生は無理ですけどね。ただ、子供達には内臓とは言わない方がいいかもしれませんけどね。」


「ははっ、お恥ずかしい話ながら、ここの教会では先日アイスさんからの寄付がなければ、満足に食事も出すことができませんでしたので、基本的に何でも食べられる子達に育っておりますよ。」


「それはそれは、理由はともかく、基本的に何でも食べられる方がいいに決まっておりますのでお気になさらず。」


「そう、おっしゃって頂けると少しは気が楽になりますかな。」


「あ、まだありました。置いていく素材については司教様に一任します。これらの素材を売って資金になさるもよし、革は何かしら使えると思いますので、それを加工して教会でお使いになっても問題ないです。もし加工される際に予算が厳しいのであれば、費用としてこちらも進呈しますのでどうぞお納めください。」


 そういって、革袋に金貨100枚を入れて(もちろん、相手には枚数がわからないように空間収納を使用しましたよ。)、その革袋を司教さんに手渡した。


「何から何までありがとうございます。この御恩は一生忘れません。何かこちらでもお力になれることがありましたらできるだけ協力することをお約束します。」


「いえ、そちらに関してはお気になさらず。アマデウス教には少なからず縁がありまして。」


「そうでしたか。どういったご縁かは、こちらからは伺いますまい。これより礼拝堂へとご案内します。どうぞ、こちらへ。」


「司教様自らご案内くださるとは、こちらこそ感謝いたします。」


 礼拝堂には、本人とは似ても似つかない像があり、その像の下には捧げ物が置かれていた。聞くところによると、毎日1食ずつ捧げているらしい。恐らく貴族を巻き込んで宗教間で争いをしているところはこういったことはほとんどやらないか、名目上やっていたとしても、大したものは置かれていないだろう。それを考えると心をこめて作ったものが捧げられているここの教会には好感が持てる。


「では、心ゆくまでお祈りください。私はこちらの部屋におりますので、お祈りが終わりましたらこちらをお訪ねください。」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えますね。」


 そう言って司教さんは部屋に引っ込んだ。今更だけど、アマデウス教ではお祈りの仕方というものは、像に頭を下げること以外は特に決まりというものがないらしく、どんな座り方でも大丈夫だし、まして立ったままでもいいらしい。恐らくご本人が登場してくれると思うので私はあぐらの姿勢で瞑目する。マーブル達はというと隣で普通にお座りしている状態だ。言わなくてもわかると思うけど、可愛いよ。


 瞑目し続けていると目はつむっているのに周りが明るくなった。ご本人降臨だ。


「なんじゃ、折角出てきたというのに驚かないのか?」


「恐らくご降臨なさると思っておりましたので。」


「ふむ、たまには出てこなくても問題ないかのう。」


「問題はないと思いますが、それだけ出番減りますよ?」


「ふーむ、それはそれでつまらんのう。まあ、よいか。ところで、お主、お供が増えたのう。マーブルは以前見ておるが、ジェミニ達は初めて見るのう。」


「ありゃ、実際にお会いするのは初めてでしたか。って、先日ここでお祈りしたときいたでしょ。」


「いや、あのときはお供達はいたかどうかわからん。お供達もワシの姿は見えておらず、ワシらの会話しか聞こえておらんはずたぞ。お主の話からは聞いていたから普通に話の内容は想像できたが。」


「そうですか。では改めて、こちらがヴォーパルバニーのジェミニです。」


「初めましてです! 私はジェミニというです! アマデウス神様、これからよろしくです!!」


「ホッホッ、お主がジェミニか。アイスからたまに話は聞いておる。よろしくのう。」


「で、こちらがスライムのライムです。」


「ボクはライムですー。かみさま、よろしくねー。」


「ほう、人語を話せるスライムか。ワシも初めて見るぞい。」


「そうなんですか? それで、ライムは何スライムになるんですか?」


「何って? 普通のスライムじゃよ。特殊個体ではあるが、通常のスライムじゃ。」


「そうでしたか。まあ、ライムはライムなので、特に問題はないですけどね。」


「うん、ライムはライムだよー。」


 そうか、ライムは普通のスライムだったか。意外と言えば意外だったかな。


「ところで、アマデウスさん、唐突だし今更感ハンパないのですが、一つお聞きしてよろしいですか?」


「何じゃ? 答えられることなら答えるぞい。」


「アマデウスさんが創造神の一柱というのは以前伺っているのですが、戦いの神とか知恵の神とかの種類ですと何の神様になるのですか? やはり音楽とか芸術系の神ですか?」


「そっちかい。確かに今更感がハンパないのう。それなら答えられるぞい。ワシはのう、実はこの世界では食事の神を司っておるのじゃ。」


「これまた意外ですね。しかしなぜ?」


「そんなもん、ワシだってわからんわい。何かしら理由はあるとは思うが、流石にこれだけ年月が経っておると忘れるぞい。お主に聞かれるまでワシが何の神だったかも忘れておったしの。ホッホッ。」


「・・・そんなんで大丈夫なんですか?」


「ああ、問題ないぞい。それはそうと、また教会に寄付してくれて感謝するぞい。」


「いえ、折角ですからお裾分けの意味もあります。どうかお納めください。」


「うむ。教徒から久方ぶりに肉をもらったが、旨かったぞい。今回はもの凄い量の肉をもらったみたいじゃが、信徒達も喜んでおったぞ。少なくともワシの教会の信徒はよく仕えてくれておる。じゃから、食事の質が貧しくても飢え死にせぬように十分栄養がいきわたる程度の加護はやっておるが、それでも貧しいことに変わりはない。信徒達の喜ぶ顔を見たのも久しぶりのような気がするのう。申し訳ないがお主の関われる範囲でかまわないから、彼らを助けてやってくれ。」


「まあ、この教会の方達は気持ちのいい方ばかりなので、機会があれば寄付することはいたしますが、いかんせんこの国の人達ですかね、問題は。」


「そうじゃのう、他の教会の連中は神のことなぞこれっぽっちも考えておらん者が多いらしいのう。むしろ神の名を騙っては好き勝手にしておる者が多く、そういった教会の神達は怒りを通り越して無関心といった感じになっておるのう。むしろ、誰かがそういった教会を滅ぼしてくれた方が喜んでくれるかもしれないほどじゃぞ。どうだ、お主、我らの代わりに罰を与えてくれぬか?」


「勘弁してくださいよ。面倒なだけじゃないですか。彼らは貴族を通じて醜い争いしかしていないようですし、放っておけば勝手に自滅するでしょ。」


「ホッホッ、確かにそうかもしれんのう。ところで話は変わるが、先日お主の夢で話したミノタウロスの件はどうなったのじゃ?」


「お話の通りの場所に現れたので、バッチリ倒しましたよ。で、今回寄付させて頂きましたよ。」


「そうか、それはよかった。供え物が楽しみじゃのう。」


「ええ、楽しみにしててください。ただ、ステーキとしては期待しないでくださいね。」


「ああ、それはかまわんよ。信徒達が心をこめて作ってくれた、というだけで満足じゃしのう。そういえば、お主、2日後くらいに王に呼ばれておるのじゃろう?」


「はい、正直行きたくないんですけどね。」


「まあ、そう言うな。とはいえ、また何か起こりそうじゃのう。」


「そうですね。嫌な予感しかしないんですよね。場合によってはこの国を離れることも考えております。」


「そうか、そこはお主の好きなようにすれば良い。じゃが、戦姫といったか? あの3人は少なくともお主に対してかなり信頼しているようじゃぞ。」


「そう思います。今回使者として来たのがあの3人だったので、彼女たちの顔を立てて承諾したようなものですしね。」


「そうか、これはあまり考えたくないが、仮にお主がこの国を離れることになってしまう場合、もし、彼女たちがお主と一緒に行動することを選んだとしたら、一緒に連れて行ってやると良い。」


「そういったことが起こらなければいいとは思いますが、万が一にもそうなった場合にはそういたします。」


「うむ、そうしてくれい。では、今回はここまでかのう。できればここの教会で再会といきたいところじゃが、まあ、そうならなかったらいつでもお主が寝ているときに呼ぶとするかのう。」


「寝ているときは流石に驚きはしますので、できれば回数は少なめにお願いしますね。」


「ホッホッ、前向きに考えるとするかの。では、またの。」


 周りが暗転して目を開けると、先程座っていたところに戻っている。マーブル達も先程いた場所に戻っていた。お祈り、というか報告会が済んだので、司教さんのいる部屋に行き挨拶をしてから教会を出た。


 しばらく王都を散策して宿に戻り、しばらくマーブル達と遊んで、夕食を済ませ、ねぐらに戻って風呂と洗濯と着替えを済ましてまた、マーブル達と遊んだりしてまったりと過ごしてから床に就く。


 さて、明後日はこの国の王様に拝謁だ。王様はともかく貴族が面倒臭そうかな。さっきの会話で変なフラグが発生したっぽいし、どうなることやら。それよりも、明日どうしようかな。ゴブリンのムラへ一旦帰宅するのもありかな。今日は思ったほど体力を消費していないから、なかなか寝付けなかった。よかったよ、拝謁が明後日で。






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