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とある中年男性の転生冒険記  作者: うしのまるやき
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第51話 ほう、ついに待ち望んだものが。

ついにpvが20000アクセスに届きました。普段よりご覧になっている皆様のおかげです。目標は総合ポイント1000ptです。まだまだ目標には遠いので、のんびりと近づいていきたいと思います。今回も楽しんで頂けたら幸いです。

 テシテシテシ、テシテシテシ、ポンポンポン、いつもの朝の起こしだけど、今日は雰囲気が違った。


「おはよう、マーブル、ジェミニ、ライム。」


「ミャア---!!」


「アイスさん、おはようございますです!!」


「あるじー! おはよーーーー!!」


 なぜか3人とも気合が入りまくっている。無理も無い、今日は牛肉祭り、じゃなかったミノタウロス討伐の日だ。先日アマデウスさんから教えてもらった情報から王都の安全と牛肉の確保を兼ねて先手を打つつもりで討伐に向かう。恐らく今日明日までに倒しておかないとギルドの情報が伝わってしまいこちらとしても動きにくくなる。かといって、昨日一昨日に出撃となると距離がありすぎるため、こちらも面倒臭いから却下だ。といった理由で今日出立するのだ。


「ミャッミャッ!」


「お肉です、たくさん狩るです!」


「おにくっ、おにくっ。」


 こんなことを言いながら3人とも急かしてくる。いや、気持ちはわかるけどさ、朝食ぐらいゆっくり食わせてくれ。牛肉は逃げないから、大丈夫だから。3人ともアッサリと朝食を食べきる。ちなみに私は半分も食べ終わってない。普段なら私が一番最初に完食しているのだが。


 朝食が終わって食器を返しに行き、メラちゃんに1日戻ってこないことを伝える。恐らく現地で1泊することを踏まえてのことだ。仮に日帰りできそうでもそうでなくても一旦ねぐらには行くつもりだ。宿を出て城門に向かう。王都は防衛上一方向にしか門がないので、門を出るのにも多少時間はかかる。ジュセイさんがいて、こちらに声をかける。


「おっ、アイス君達じゃないか。今日は狩猟のクエストかな?」


「あ、ジュセイさん。今日は所用で1日戻らない予定ですので。」


「そうかい、気をつけて行ってくるんだよ。」


「はい、いってきます。」


 城門を出てからしばらくはのんびりと徒歩の旅だ。流石に人がいる状況で水術加速などできない。まあ、やっても問題はなさそうだけど、出来るだけ目立たないようにしないと。とはいえ、肩に猫とウサギを乗せて移動している時点である程度目立っているので今更感があるけど、そこはそれ。周りに人の気配がいなくなったところで速度強化を施す。いつもの接地面を凍らせて滑っていく移動方法だ。これ、上り坂でも案外使えるので密かにチートである。でも使えるものは使おう。


 しばらく進むと森に到着した。到着したとはいえ別に立ち止まるわけではなく、そのまま進んでいる。念のため氷の罠を設置しておく。これはミノタウロス用ではなく、ギルドの偵察隊を警戒してのことだ。牛肉の独り占めをジャマ、じゃなかった、私達が討伐している様子を見せないためだ。水術1つでこんなこともできるとは。まあ、正直言ってここまで応用が利かなくても魔法が使いたかった(泣)。


 森の中をしばらく進むと、マーブルが敵軍を探知した。マーブルが指した方向を確認してみたが確認できなかったので、更にしばらく進んでようやくこちらも探知できた。どんだけ凄いんだよこのは。距離はまだかなりあるので、もう少し進んで詳細を確認していく。探知したことの無い種類で、かなり大型である、恐らくミノタウロスで間違いないだろう。数は、と、100だと? まずいな、今回はソリは用意していない。あ、マスタードラゴンはねぐらにしまったから大丈夫か。よし、肉祭りだ。ゴブリンのみんなにもお裾分けしよう。アマデウス教会にもたっぷり渡せるな。このスピードだと接敵まであと1時間か。その間に相手の並びを確認しておくか。


 数は100ちょいだから、34くらいずつ? バーニィでいける? いや、大丈夫だ。先日マスタードラゴンをつぶしているしな。いや、待てよ。こういうときこそ合体技で殲滅するべきじゃないか? いや、それだと素材が厳しいか? いや、マスタードラゴンの時も大丈夫だったから今回もいけるはず。よし、これでいこう。


「これよりお肉祭りですが、私は別に強敵と戦いたいわけではありません。楽して勝利したいのです。というわけで、最初は私とマーブル隊員の合体技で肉を感電させます。マーブル隊員、肉の範囲は把握してますよね?」


「ミャッ!」


「よろしい。私の方でも範囲が確認できました。今から仕込みに取りかかりますので、合図がありましたらマーブル隊員はお肉達の範囲に風魔法を。恐らく全員感電すると思います。まあ、仮に感電しなくても問題ないはずです。とりあえず雷が収まったら突撃です。攻撃範囲を雷で色分けしておきますので、赤い部分の範囲をマーブル隊員が、青い部分の範囲はジェミニ隊員が、紫の範囲は私ということでよろしく。」


「ミャッ!!」


「了解です!!」


「あるじー、ボクは?」


「ライム隊員はお肉のお掃除という最も重要な仕事がありますので、戦闘中はいつもの中に入っててください。」


「わかったー、まかせてー!!」


「あ、わかっていると思いますが、皮や角も素材として人気がありますので、できるだけ一撃で仕留めて下さい。一撃で倒せないような特別種がいましたら、それに関してはできるだけ傷つけないということで。」


「ミャア!」


「承知してますです!」


 よし、では仕込むとしますか。敵の全体を捉えたので進みながら準備をしていく。向こうは自信満々に行進するような感じで進んでいる。では、正々堂々殲滅するとしますか。そろそろ向こうの斥候もこちらが近づいていることは確認しているだろう。あと10分くらいといったところかな。


「マーブル隊員、ジェミニ隊員、少し作戦を変更します。いつもは突撃で有無を言わせず攻撃しましたが、今回は正々堂々といこうと思っております。とはいえ、攻撃手順は先程伝えたとおりです。」


「ミャッ!」


「了解です!」


 ミノタウロスの姿を捉えた。3メートル近くある。でかいな。こちらに近づいてくる。よしよし、逃げようとしないな。ボスとおぼしき肉が話しかけてきた。これは、好都合じゃ無いか。


「ニンゲン、死にたくなければそこをどけ。」


「いや、死にたくなくても逃がさないつもりでしょうに。」


「当然だろう、虫けらは踏みつぶしていくのが当たり前だからなあ。」


「そうですか、その程度の兵力で勝つつもりですか。やはり脳筋は考えることが違いますねえ。」


「ああん? ニンゲンごときがそんな大口叩いてもいいのかぁ?」


「食材が何を言っているんでしょうかね?」


「おめぇ、楽に死なせてやろうと思ったが気が変わった。楽には殺さねえよ、覚悟しな!!」


 ボス肉がいきなり襲いかかってきた。といってもこちらも想定内なので問題なし。斧のうち下ろしを難なく避けて水術を発動して辺りを氷で覆う。氷というか雪に近いかな。


「そんなショボい冷気で俺たちを倒せるとでも思っているのかぁ?」


「倒せるんですよねぇ、これが、、、。マーブル隊員!!」


「ニャア!」


 マーブルがミノタウロス全員を風術で包む。風術の範囲内には雷が発生して電撃がミノタウロスを襲う。


「よし、バーニィ起動。突撃いっ!!」


 マーブルが左側の赤い範囲に、ジェミニが右側の青い範囲にそれぞれ突撃する。私も負けじと紫の範囲に突撃していく。痺れて無防備とはいえ、倒すのは大変ではないな。ボスは後回しにする。ボスを倒してしまうとお肉が逃げてしまうからだ。電撃ではミノタウロスを倒せなかった、というより倒さなかった。マーブルも気を遣って痺れる程度に威力を落としてくれたみたいだ。流石は我が


 100くらいいたミノタウロスは問題なく倒されていった。残るはボス1体のみだ。ボス肉は信じられないといった感じでこちらを見ている。


「お、おめぇ達は一体何者だ?」


「何者って? ただの一冒険者ですよ。」


「くそ、ふざけやがって、おめぇだけでも殺してやる!!」


 痺れが抜けたらしいボス肉はこちらに向かって来た。正直1対1ならありがたい。バーニィをしまって迎撃する。しばらくは相手の様子をうかがっていたが、だんだん飽きてきた。攻撃が力任せで単調なのだ。しかも避ければ避けるほど向こうは激高してさらに単純化する。とはいえ、もちろんまともに喰らったら致命傷だ。


「くそっ、ちょこまかと小賢しい!!」


「あ、じゃあ、堂々と迎え撃ちますか。」


「くそっ、舐めやがって!!」


 渾身の一撃っぽいのが来たので素直に受け止める。格闘術極は伊達では無かった。


「な、何? 馬鹿な? この一撃が止められただと?」


 ボス肉は驚愕と恐怖が混じった表情で困惑していた。さて、どうしましょうかね? 流石に3メートルの巨体は投げるのが大変だし面倒だ。かといってこれ以上引き延ばすと逃げられるかもしれないな。解体も控えているから足からつぶしていくか。側面に回り込んで膝の横側に足刀を打ち込む。いい音がしたと思ったらボス肉は片膝をついた。その隙に羽折固めを極める。3メートルの巨体に極めてもどうかと思ったが、そこは格闘術極、難なく極まり相手の呼吸が止まる。念のためジェミニに首をはねてもらって終了。では、終了の宣言をしましょうかね。


「肉確保作戦完了です。マーブル隊員、ジェミニ隊員、お疲れ様でした。」


「ミャー!」


「お疲れ様でした!!」


「では、これより解体作業にとりかかります。ジェミニ隊員、ライム隊員、よろしく頼みます。」


「了解です!!」


「わかったー!」


 そういえば、解体するにもこの数だ。時間がかかるし、ドラゴンと違って血は抜いておかないと、しかしこれだけの数だと血の臭いもやばいな。それにマーブルだけが手持ちぶさたでかわいそうだな。


「そうだ、マーブル隊員は風魔法でもって、この辺りの臭いを吹き飛ばして欲しいのですが。」


「ミャーッ!!」


 マーブルは嬉しそうに敬礼してくれた。よかった。


 解体作業は結構時間がかかった。流石にこの数だと大変だ。それでもジェミニは部分毎に綺麗に解体してくれたし、ライムもしっかり綺麗にしてくれたばかりか、途中で流れている血も綺麗にしてくれて辺り一面は平穏そのものだった。マーブルの風魔法によって血の臭いが一切なくなったのも大きい。3人の頑張りによって日が暮れる前には終わってくれたので周りに人がいないか確認して転送ポイントを設置、ねぐらに戻る。


 ねぐらに戻ったら最初にやることは夕食の準備だ。もちろん今日狩ったミノタウロスの肉を使う。みんな楽しみにしていたのだ、いつ食べるの? 今でしょ!! って古いか。でも、言わずにはいられなかった。ついに念願の牛肉を手に入れた。しかも王都ではタマネギやニンジンなどの野菜類だけでなく何とミソやショウユまで売っていたのだ。ちなみに同じ名前だった。これ絶対他の転生者が絡んでいるよね。でも名前が一緒なのはありがたい。というわけで、これらが手に入ったのだから、作るものは決まっている。初めてのまともな料理といえるので、メニューを列挙しておく。


1.ビーフステーキ・・・今回はシンプルに塩胡椒で味付け。でも、スガープラントだけどね。焼き加減はミディアムで。レアは次回以降にチャレンジ。ちなみに付け合わせはないです。


2.モツの煮込み・・・我が家はガツも一緒。大根、玉葱、人参、生姜(敢えて漢字で表記)というシンプルなもの。ちなみに、こんにゃくは手に入ってないよ。


3.牛すじ煮込み・・・これは明日の朝に食べる。流石に夕食には間に合わない。


 何度も言うが、私は前世あまり料理をしていないから、この辺りが限界だ。くれぐれもこの材料が足りないとかそういった突っ込みは勘弁願いたい。それはそうと、我が達がワクワクしながら出来上がりを待っている。


「ミャッ、ミャッ」


「お肉、お肉っ」


「おにくっ、おにくー。」


 マーブルとジェミニはライムの周りを先程の台詞を吐きながら廻っている。ライムは垂直跳び(某名人級のスピード)をしながらやはり先程の台詞を吐いていた。みんなに見せたいけど、これは私だけの特権だ。あまりの可愛さに油断して焼きすぎないように気をつけないと。


 出来上がりは前世と合わせても最高の仕上がりと言っても過言では無いだろう。そんな出来映えだった。

3人も待ちきれないといわんばかりに料理に群がる。これは急いで分けないと。


「では、いただきます!!」


「ミャア!!」「いただくです!!」「いただきまーす!!」


 お味の方はというと、絶品以外の言葉が思い浮かばなかった。ドラゴンの肉も絶品だったが、ミノタウロスの肉はわざわざそれを求めて手に入れたものだから、それ以上に美味かった。普通に食べていたらもちろんドラゴンの肉の方が美味いと思う。しかし、今回に限って言えば間違いなくミノタウロスの肉に軍配が上がる。今更だけど、ミノタウロスの肉は筋肉の塊だけあって筋が多めではあったが、意外にもステーキで十分美味しく食べられる部分が多かった。1体でステーキ部分と内臓部分と牛すじ部分がそれぞれ100キロ近く採れた。これでしばらくは牛を堪能できるな。マーブル達ももの凄く喜んでくれた。作った甲斐があったというものだ。


 夕食が終わり、いつものようにお風呂と洗濯と着替えを済ませてから、3人と遊んで寝る時間になると、何かライムの様子が変だ。私が心配しているのをよそに、マーブル達は問題ないと言わんばかりに平常運転だ。


「あるじー、ボクは大丈夫-。明日になったらわかるよー。」


 ライムもこう言っているから大丈夫だと信じたいが、やはり心配だ。しかし、ここはライムを信用して寝るとしましょうかね。いつもの挨拶を済ませて私達は眠りに就いた。

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[気になる点] 主人公が牛肉は逃げないとか言ってるけど、生きてるから逃げますよ(笑)
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