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ラブリーシエルズ  作者: 五和ユウキ
第1章 迫る闇編
7/9

迫る闇編ー4


4


ハッと目を覚ました千菜は慌てて起き上がる。


既に辺りは暗く、街頭の明かりが静かに照らす。


さっき起きた出来事がまるで夢のようだ。


「いつの間に寝てたんだろう」


公園に立ち寄った記憶がない千菜は首を傾げる。


そして、制服のポケットからスマホを取り出し、現在の時刻を確認する。


既に19時を過ぎていた。


「やばい!お母さんに怒られる!」


置いてあった自身の学生鞄を慌てて手に取り、自宅に向かって走る。


その光景を物陰から見つめる綾花と白い鳥。


「どうして彼女があの空間を……」


「もしかしたら選ばれし者かもしれません」


不満そうな表情を浮かべる綾花は千菜とは真逆の方向へ歩き出す。


「あの子が選ばれし者なんて……」


「決まった訳ではありません」


鳥の姿をしているが、ベルアンに滅ぼされたミティスナム王国の王女なのだ。


名前はミシーヌ・シエル・セイレン。


ベルアンとの戦いで持てる力を使い果たし、闇の力で今の姿に変えられてしまった。


「彼女が選ばれし者ならラブリーシエルズを復活」


「この話はやめましょう」


機嫌が悪いと言わんばかりの態度でミシーヌの言葉を強引に遮った綾花。


何とも言えない気不味い空気が流れる。


数十秒間の沈黙の後、ミシーヌが恐る恐る口を開く。


「わ、わたくしは彼女の様子を見てきますね。生身で戦闘員の攻撃を受けていたので」


綾花の右肩からミシーヌは星空と満月が彩る夜空へ羽ばたく。


孤独になった綾花を月明かりが照らす。



千菜宅。


パジャマ姿の千菜は濡れた髪をタオルで拭きながら自分の部屋に入る。


机の上にいる白い鳥の存在にまだ気づかない。


「こんばんは」


「こんばんは……って鳥が喋った!?」


何気ない挨拶を返した後、言葉の主の存在に驚いた千菜の体が飛び跳ねた。


「先程は助けていただきありがとうございました」


「ま、まだ公園で寝てるとか?!」


「ちゃんと起きてますよ」


ここまでくると現実だと認めざるを得ない。


わたくしはミシーヌ」


「あ、天咲千菜です」


千菜は動揺しながらペコっと頭を下げる。


わたくしは別次元世界から来ました」


千菜はミシーヌの住んでいた世界やシエルクリスタルを狙う組織について詳しい話しを聞いた。


まるでアニメや漫画のような出来事が別次元で起き、自分たちがいる地球にも危機が迫っていること。


何も知らない人が聞いたらただのおとぎ話に聞こえるだろう。


しかし、実際に戦闘員に襲われた千菜には説得力のある話しだ。


「ベルアンって組織にミシーヌさんは狙われてるんだね」


「ミシーヌで結構ですよ千菜さん。正確に言えばわたくしのネックレスにあるシエルクリスタルです」


ミシーヌは器用にくちばしを使い、ネックレスの鎖を咥え、千菜に見せる。


「綺麗なネックレスだね!」


「これは王家に伝わる神器なんです」


「なんか凄いね!」


わたくしの父が最後に託してくれたんです」


悲しそうに俯くミシーヌを見た千菜は優しく彼女の頭を撫でながら励ます。


「できることがあれば私も協力するから元気出して!」


「ありがとうございます千菜さん」

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