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ラブリーシエルズ  作者: 五和ユウキ
第1章 迫る闇編
6/9

迫る闇編ー3


3


黄昏に染まる空の下、鼻歌を歌いながら帰宅する千菜。


新しくできた友達と放課後に遊ぶことができて満足しているのだ。


その時、突然辺りの景色が灰色に変色して色を失う。


夕暮れの空が知らぬうちに毒々しい色に染まっていた。


「あ、あれ?」


現実では起こり得ない現象に千菜は困惑し、何度も辺りを見渡す。


歩道を歩く人や道路を走る車など時間が静止している。


まるで白黒映画を一時停止して見ているかのようだ。


「ゆ、夢……?」


流れる沈黙を破るように少し離れた場所から騒音が聞こえた。


「い、今の音は?!」


道に迷いながら音がした場所に到着した千菜はコンクリートの塀からそっと様子を伺う。


そこにはラバースーツのような黒いスーツを着た複数の女性が白い鳥を囲んでいた。


「こ、コスプレ?」


そんなことを呟いていると黒いスーツを着た女性の1人が鳥を蹴り飛ばす。


咄嗟に千菜は学生鞄を放り投げ、鳥を庇うように両手を広げて立つ。


「弱い者いじめはダメだよ!」


「シャド!」


「しゃ、しゃど?」


意味不明な単語に首を傾げたその時、スーツを着た女性の1人が千菜に襲いかかる。


千菜は素早く横に避け、鳥を両手で抱きしめるとスーツを着た女性たちから距離を取る。


「いきなり何するの!?」


「彼女たちに何を言っても無駄です」


何処からともなく聞こえてきた女性の声に驚き、辺りを何度も見渡す。


「だ、誰?!」


わたくしです」


「鳥が喋った!?」


透き通るような女性の声で喋る鳥に目を疑う千菜に容赦なく襲いかかる戦闘員。


千菜はとりあえずその場から逃げ出し、物陰に身を潜めた。


「い、一体どうなってるの?!」


「端的に言えばわたくしはある国の王女で闇の組織から狙われているんです」


「そんなお伽話みたいな話が」


「すぐ信じてもらうには無理がありますよね。でも、この空間で動けるあなたに出会えて助かりました」


鳥の話によるとベルアンは闇の力で辺りを包み、時間や空間を一時的に支配している。


普通の人なら影響を受けるが、千菜は何故か例外のようだ。


黒いスーツを着た女性たちはベルアンが生み出した量産型戦闘員で戦闘力はあまり高くない。


「とりあえずこのまま逃げて戦闘員?さんたちが諦めてくれれば」


「戦闘員は目的を達成するまで諦めません」


「どうしたらいいの?」


「それは……あ、危ない!」


「えっ!?」


突然背後から戦闘員の攻撃を受けた千菜は地面に倒れ、鳥から手を離してしまう。


戦闘員の攻撃を生身で受けた衝撃は大きく、地面に倒れたまま千菜の意識が薄れていく。


意識が深い闇へ沈む中、和服を思わせる衣装で青髪の少女が目の前に現れた。


「あ、あなたは……」


弱々しい声で言葉を発した直後、千菜の意識が完全に闇に沈む。

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