表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブリーシエルズ  作者: 五和ユウキ
第1章 迫る闇編
4/9

迫る闇編ー1


1


千菜が北海道の道東地域に引っ越してきてから1日が経過した早朝。


真新しい学生服に身を包み、鏡で身だしなみを整える千菜。


いよいよ誓愛せいあい女子中学での学校生活が幕を開けるのだ。


「よし!」


いつものようにハート型のヘアピンで前髪を留め、床に置いてあった学校鞄を手に持ち、玄関へ向かう。


「いってきまーす!」


そう言って玄関でローファーを履き、春風が吹く外へ飛び出す。


東京育にとって肌寒さを感じる気温だが、新しい学校生活に胸が高鳴る千菜には関係ない。


「えっと学校は……こっちかな?」


昨日、学校までの道を下見したにも関わらず、方向音痴が故に目的地とは反対方向へ走り始める。


そのことに気づいたのは数分後のことだ。


「あ、あれ?」


全く見覚えのない景色が千菜を不安にさせる。


挙動不審に陥っていたその時、少し離れたところで同じ制服を着た少女が通り過ぎていくのを見かけた。


千菜は急いで少女の後を追い、背後から声をかける。


「すみませーん!」


千菜の呼びかけに反応し、紺色の長い髪をした少女は綺麗な紫色の瞳を千菜へ向ける。


「何か?」


クールビューティーな少女に千菜は見惚れてしまう。


「ん?」


不思議そうに首を傾げる少女。


千菜は、慌てて首を左右に振り、我を取り戻す。


「あ、あの!転校したばかりで道に迷ってしまったので一緒に登校してもいいですか?」


「……お好きに」


怪訝そうな表情でそう答え、再び学校へ歩き始めた少女の後に続く千菜。


転校初日から遅刻せず学校に辿り着けると一安心した千菜は、何か会話をしなければと口を開く。


「何か部活に入ってるんですか?」


「別に」


「なら、その部活鞄は?」


千菜は、背後から少女の持つ部活鞄を指差す。


「別に」


少女の無愛想な態度に千菜は苦笑いを浮かべる。



誓愛女子中学ー校内。


女性の担任に続いて廊下を歩く千菜。


緊張から千菜の表情は硬く、歩き方もぎこちない。


クラス全員の前で自己紹介をしなければならないのだから無理もないだろう。


教室の前に到着し、先生の後に続いて中へ入る。


「みんな席についてー。転校生を紹介するわよ」


担任の指示に従い、席に座った生徒たちが揃って千菜を物珍しげに見つめる。


その視線が余計に千菜を緊張させ、心臓の鼓動が静かな教室内に響き渡るかのようだ。


「今日からクラスメイトになる天咲千菜さん。天咲さん、自己紹介を」


「は、はい!東京の学校から転校してきました天咲千菜です!しゅ、趣味は運動です!よろしくお願いします!」


緊張しながらも簡単な自己紹介を終えた千菜に対し、クラスメイトたちが温かい歓迎の拍手を送る。


「天咲さんの席は月下さんの隣ね」


「つ、つきした……さん?」


「奥の窓側に座ってる子。月下さん、天咲さんに席を案内してあげて」


何処か悲しげな瞳で外の景色を見つめていた少女は、担任の先生の呼びかけに反応し、顔を黒板へ向ける。


「さ、さっきの美少女!?」


驚きのあまり千菜は目を丸くする。


何故なら、一緒に登校してくれた少女だったからだ。


少女も千菜に気づき、一瞬驚いた表情を見せるもすぐ真顔に戻り、静かに隣の席を指差す。


「あそこが天咲さんの席」


「は、はい!」


千菜は自分の席へ移動し、自身の左隣に座る少女に話しかける。


「よろしくね月下さん。まさか同じクラスになるなんて思ってなかったよ」


千菜の方など見向きもせず、無言で外の景色を見つめ続ける月下綾花つきしたあやかであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ