話し合い
「実は前々から予定したものがあって…。」
「僕は大丈夫ですので、行って来てください。イモーテルもおりますし心配いりません。」
僕は母様が心配しないように懸命に笑顔を作った。すると母様はそれに安心したのか「それなら行ってこようかしら。」と零す。
僕はイモーテルに目配せをすると彼は「奥様、どうぞこちらへ。」と母様を連れ出してくれた。
それから暫く、イモーテルと二人きりの時間を過ごし、午後の時間となった。
「トルー、体調は大丈夫かい?」
僕が昼食を食べ終わった頃、サンバックを連れだったルート様がお見舞いに来てくれた。
「はい、体調はもう大丈夫なんですが昨日の今日なので念の為に。」
「そうか、良かった。昨日トルーと別れてから君が倒れたと聞いていてもたってもいられなくてね…でもどうしても外せない用事があってすぐに駆けつけてあげられなかったんだ…ゴメンね。それにサンバックまで帰してあげられなかったし。」
「いいえ、そんな!僕の為にわざわざ時間を割いていただくなんて…!お仕事を優先して下さい!」
僕は落ち込んでいるルート様に慌ててフォローをする。
「でも、今はなんともなくて良かったよ…。それで昨日、なにがあったか聞いてもいい?」
その声は先程とは違い、少し硬くなり表情も真剣だ。
僕は昨日、ルート様が帰ったあとバイオレット様が目を覚ましたこと、目覚めたバイオレット様がルート様に会いたがっていた事実を告げる。勿論、僕に浴びせた罵声は告げずに。
「…その後、トルーが倒れたのはなにかバイオレットが関係しているのかい?」
「えっ…いや、それは無いかと…。バイオレット様と少しお話をした時に急に目眩がして…その時になにかされた感覚もありませんでしたし…きっと気疲れでしょう。」
僕はそう答えたがルート様は少し考える素振りを見せるとサンバックに「ニア・バイオレットを尋問する。」と告げる。
「トルーに何か魔法を使った疑いがある、聞き出すぞ。」
ルート様のその言葉にサンバックは「直ちに。」と応えると部屋を出て行った。




