空腹
次に僕が目を覚ました時には自室のベッドの上だった。周りには誰もおらず、枕元に水差しと仄かにランプの灯りがついているだけ。
僕はゆっくりと身体を起こすと時計を探した。
「(今…何時…?)」
時計を覗き込むと夜の12時を指している。
「(えぇ⁉︎僕、そんなに寝てたの⁉︎)」
そう思うと途端にお腹が空いてきた。
「(…晩御飯…食べ損ねたなぁ…お腹空いた…。後で何か探しに行こう…。
それにしてもヒロインのあの異常な怒り方と目眩…。何か関係があるのかな…"なんでルート様じゃなくてアンタがいるのよ"って言ってたけど、ルート様じゃなきゃいけない理由が…?それに魔法も自分で使ったって自白してたし…。どうしよう…このまま事件が明るみになって彼女が退学なんてことになったら…。ルート様のことは誰が助けたらいいの…?)」
僕がそう考えていると、いよいよ本格的にお腹がグゥ~と鳴り出した。
僕はヒロインについてなんの解決策も考え付かないまま立ち上がると自室の扉を開き、厨房へと向かう。少しぐらい我慢すれば…と思うかもしれないが、僕はお腹が空いていると寝れないタチだ。
「(こういう時の我慢は良くないよね~。)」と歩き続ける。廊下は照明が薄暗くなっており、気をつけないと調度品を壊してしまいそうだ。
「(○ロリーメイトとか○ィダインゼリーみたいな簡易食があればいいけど…流石にこの時代に無いのは分かってるから小さなパンでもいい…何かお腹に入れたい…。)」
僕は厨房へ着くと早速、保管庫の扉を開けた。
中は食材で溢れている。
「(うわーなんか色々ありすぎて分かんない…!とりあえず探そう。)」
僕は1番近い棚から物色し始めた。
暫く探していると、そのままでも食べれるものを見つける。それを抱えて振り返ると真顔のイモーテルが立っていた。
「…トルー様、何をなさっているんですか?」
あっ…あれ?イモーテル怒ってる?
「えっ…とお腹が空いて…。」
「でしたら、私を呼んで下さい!トルー様は倒れられたのですよ⁉︎もう少しお身体を大切になさって下さい!」
イモーテルはそう叫ぶと荷物ごと僕を抱きしめる。
僕は呆気にとられ固まっていると、彼の身体は熱く少し汗ばんでいる。更によく見るといつものカチッとした執事の服装ではなく寝間着と思われる服装に羽織りを着ただけの簡易な服装。
「(もしかして必死に探してくれた…?)」
僕は申し訳なさで動けなくなる。
「トルー様の様子を見に行き、貴方の姿がなかった時の私の気持ちをお考えですか…。また貴方を失うかもしれないと思ったら私は息が止まりそうでした…!トルー様…私のことを少しでも想って下さるなら無茶だけはしないで下さい…!」
彼は僕の肩に顔を埋め、身体を震わせている。




