心配
その後、家族と共に朝食を済ませた僕は学校へと向かう馬車の中でブルーマリーのことを考える。
「(ブルーマリー…やっぱりさっきはちょっと元気なかったなぁ…朝食も残してたし、いつもより口数も少なかったし…。それに今日からテストだから僕に対して負けませんわよ!とか言ってもおかしくなかったのにそれも無かった…。そんなにルート様のことが好きなんだなぁ…。)」
僕がうんうん唸っていると「トルー様、考え事ですか?」とイモーテルに額を撫でながら尋ねられる。
僕は咄嗟にテストのことだと告げた。彼はブルーマリーのことを話し出すと機嫌が悪くなるので、そこはテストのことだと嘘をつく。
「トルー様なら大丈夫ですよ。いつも良い成績を修めていますし、記憶力も抜群に良いではありませんか。」
「うーん…そうかなぁ。」と照れながら返事をする。素直に褒められると恥ずかしい。
「飛び級までされてるんです、ご自分に自信を持って下さい。」と力説され、僕はフフッと笑うと「ありがとう。」と身体を起こした。
彼はたまに嫉妬して恐い時もあるけれど、こうやって僕が元気のない時にいち早く気付いてくれることにはいつも感謝している。僕は彼の艶やかな黒髪に手を伸ばすと「いつもありがとうね、イモーテル。」と頭を撫でた。
すると最初は呆けていた彼もハッとしたように「トルー様!」と僕を抱き締めてくる。僕は初めてイモーテルに抱き締められ驚きはしたものの「(イモーテルって細身だけど、意外にガッチリしてるんだー。)」とどうでもいいことを考えていた。
結局、学校に着くまで僕はイモーテルの膝の上で抱き締められていた。「(これが日常化しないことだけを祈ろう…。)」と思いながら馬車を後にする。
教室に着くといつもより雰囲気がピリピリしているように感じる。皆、教科書を片手にあーだこーだと話している。僕は正直、見る必要はないのだけど皆がやってるのに1人だけやらないのも嫌味かと思い教科書を開いた。
するとヒロインが「おはようございます、トルー様。」と話しかけてくる。それに返事をすると早速「トルー様は何処が出ると思われますか?」と聞かれる。隠すことでもないので「ココとかココは出るような気がします。」と答えるとヒロインは真剣にそこを覚え出した。「(そんな数分で分かるものでもないんだけどな…。)」と思いつつ、そんなことは言えない。黙ってその様子を眺めていると先生が入ってきた。
「では、試験を始める。教科書などは片付けて着席しなさい。」




