ペナルティ
それから2、3日が経ちオール様が心配になった僕は再び図書館へ足を向けた。
「(オール様、大丈夫かなぁ…ヒロインにベタベタされてないといいけど…。)」
そう思いながら歩いていると遠くの方で生徒会一行を見かける。
そういえば…。
僕がヒロインを庇った次の日から本当に彼女にペナルティが与えられていたらしい。僕にとってはその場を逃げ切る為の口実だったので本当に実行されていたのは驚きだ。
コールの話によると流石に色々とやらかすヒロインなだけあって、このペナルティも一筋縄ではいかなかったようだ。
彼女にはいくらペナルティで生徒会の雑用をしてもらうにしても運営に関わる重要な書類を見られては困る。よって極力、各役員のテーブルには近づかないように釘を刺していた。しかし、隙をみては会長に近付いてくる為、それを何度か注意したのだか彼女の行動は一向に治らない。それにとうとう会長がキレたらしい。
「(流石ヒロイン…!好感度に貪欲…!)」
コールとしては自分に被害が及ばなければそれでいいと思っていたので会長が被害にあっていたのを横目に仕事を続けていたそうだ。
「(まぁコールは攻略対象じゃないもんね…でもこんなに見目が美しかったらそんなこと関係なくヒロインも絆されちゃいそうなのに…。)」
僕はそう思いながらコールをジッと見つめる。
すると途端に顔を赤くしたコールが「そんな見つめないで下さい!」と恥ずかしそうに告げたので目を逸らすと「あっ…!」と残念がられた。
いや、僕の方が恥ずかしいからね!?
そして図書館に着いた僕は中を覗いてみる。しかし珍しくオール様は不在である。
「(あれ…?珍しいな、オール様がいないなんて。)」
僕はそう思いながらも誰もいない図書館の席に腰を下ろし、勉強しようと鞄を開けた途端、図書館の扉がバンッと勢いよく開いた。
驚いてそちらを見るとハァハァと息を乱して「トルー様!」と叫ぶセイロンの姿が。
「どっ…!どうしたのセイロン!?」
「たっ…大変なんです!ブルーマリー様がバイオレット様に対してかなりご立腹のようで…!」
理由は聞かなくても分かる、ルート様関係だろう。
「分かった!姉様は今、何処にいるの?」
「教室です!騒ぎになってたので直ぐに気が付きました。」
「ありがとう!とりあえず僕は行くね!後でキチンとお礼は言うから!」
僕はそう言って走り出した。




