中間テスト
僕は帰宅すると書き留めていたゲームの流れを確認する。幾分か先程のことが不安ではあったが、これで良かったんだと無理矢理、自分を納得させた。
「(えーと…次は中間テスト!ヒロインはテストの為に図書室に入り浸るようになる。そこでオール様との勉強会が始まり好感度が上がっていくんだけど…実際はどうなんだろ?オール様、ヒロインのこと苦手っぽいし、無理にくっつける必要はないのかもしれない…。まぁ僕も勉強はしないといけないからヒロインの監視ついでに図書室にでも行こうかな。)」
僕はそう決め、イモーテルの淹れてくれた紅茶に手を伸ばした。
それから1ヶ月。
僕は相変わらずヒロインの監視やブルーマリーの宥め役、更にはやたらと近付いてくるコールの相手をしていた。少し変わったことといえば新入生歓迎会で仲良くなったセイロンと昼食を食べるようになったこと、そして前よりも会長とランドモスとの接触が増えたことだ。しかし、セイロンについてはゲームのアドバイスを貰っているだけだし会長やランドモスに関してもいつもヒロイン関係で関わるので深く意味は無いと思っていた。
そして今日は中間テスト1週間前。
色んなクラブの活動も一旦止み、テストに向けて準備が始まる。この頃になるとテスト範囲も発表され、生徒達は必死に勉強を始めていた。
僕はというと完全な努力型である為、授業を受けていたら勉強しなくてもテストで点取れるし、というタイプではない。なので、日頃の勉強+テスト前の追い込みが必要なのだ。
そして、この学校では座学だけではなく魔法の実践テストもある。僕は下手をすると実践で大幅に点数を落としてしまうので最後まで気は抜けない。
僕は必要な道具を全て鞄に詰め込み、図書室へ向かった。
図書室に着くといつもと変わらずオール様が腰掛けている。ヒロインはまだ来ていないようだ。
「トルー君、こんにちは。」
オール様はいつ見ても癒される。ヒロインがあんな性格じゃなければオール様とくっ付いてくれれば喜ばしいのに。
「オール様、こんにちは。」
「もうすぐテストだね、ここにはテスト勉強に?」
「はい、僕は成績を維持しないといけないので…。」
「ああ…そうかトルー君は飛び級したんだもんね。上位を保たないといけないんだっけ?」
「そうなんです…クラスの上位10人に入らないとダメで…。すぐ退学ってわけじゃないんですけど、肩身が狭くなるので頑張らないと。」
「…そっか…トルー君が居なくなるのは寂しいな…。僕も出来る限り協力するから分からないところがあったら言ってね?」
「ありがとうございます、オール様。」
僕はそう言うと早速、教科書に目を向けた。




